相続財産に駐車場の土地があると、「貸しているのだから評価が下がるのでは」と期待されることが多いのですが、実際には経営の形態によって評価が大きく変わります。アパートの敷地(貸家建付地)のように一律に2割前後の減額になるわけではありません。
自分で駐車場を経営している場合
土地の所有者が自分で区画を整備し、利用者と駐車場の利用契約を結んでいる月極駐車場は、土地を貸しているのではなく「車を預かるサービスを提供している」と考えます。そのため土地は自用地として評価し、減額はありません。アスファルト舗装をしていても同じです。
業者に土地を貸している場合
コインパーキング業者などに土地そのものを貸し、業者が機器や舗装を設置して運営している場合は、土地に「賃借権」が設定されていると考え、自用地評価額から賃借権の価額を差し引きます。
賃借権の価額は、契約内容によって2通りに分かれます。
- 地上権に準ずる賃借権(登記されている、権利金の支払いがある、堅固な構築物の所有を目的とするなど):自用地評価額 × 残存期間に応じた法定地上権割合(または借地権割合)の2分の1相当などで計算
- それ以外の賃借権:自用地評価額 × 残存期間に応じた法定地上権割合の2分の1 程度
残存期間が短い通常のコインパーキングの契約では、賃借権の価額は自用地評価額の2.5%〜5%程度にとどまることが多く、減額は限定的です。
計算例
自用地評価額4,000万円の土地を、残存期間3年の契約でコインパーキング業者に貸している場合(地上権に準じない賃借権、残存期間5年以下の法定地上権割合5%の2分の1と仮定)。
- 賃借権の価額:4,000万円 × 5% × 1/2 = 100万円
- 貸し付けている土地の評価額:4,000万円 − 100万円 = 3,900万円
小規模宅地等の特例との関係
駐車場の土地は、相続人が事業を引き継ぐなどの要件を満たせば「貸付事業用宅地等」として200㎡まで50%減額できる可能性があります。ただし、アスファルトや砂利敷きなどの構築物がなく、ロープで区画しただけの青空駐車場は「建物または構築物の敷地」に当たらず、特例の対象外です。自分で経営していても、舗装などの構築物があれば対象になり得ます。
評価そのものの減額より、この特例の適用可否のほうが税額への影響が大きいことも多いため、駐車場の整備状況と契約形態を整理したうえで検討してください。構築物の有無は現地の写真で残しておくと申告の際に役立ちます。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。