投資信託は「基準価額 × 口数」で評価するイメージがありますが、実際には種類によって評価方法が異なります。証券会社や銀行の残高証明書に記載された評価額をそのまま使うと、控除できる金額を引き忘れることがあります。4つのタイプに分けて説明します。
3つのタイプの評価方法
上場投資信託(ETF)・不動産投資信託(REIT)
証券取引所に上場している投資信託は、上場株式と同じ方法で評価します。
課税時期の終値、課税時期の月・前月・前々月の各月の平均終値、以上4つのうち最も低い価格に口数を掛けます。基準価額ではなく市場価格を使う点がポイントです。
一般の投資信託(株式投資信託・追加型公社債投信など)
上場していない通常の投資信託は、課税時期に解約した場合に受け取れる金額で評価します。
評価額 = 課税時期の1口当たり基準価額 × 口数 − 解約した場合の源泉所得税相当額 − 信託財産留保額・解約手数料(税込)
源泉所得税相当額は、課税時期の基準価額と取得価額の差(含み益)に20.315%を掛けた金額です。含み損の場合はゼロです。信託財産留保額は、解約時に差し引かれる費用で、目論見書で「基準価額の0.3%」などと定められています。
日々決算型の投資信託(MRF・MMF・中期国債ファンドなど)
証券口座の待機資金に使われるMRFなどは、毎日決算を行い、分配金が再投資される仕組みです。評価は次のとおりです。
評価額 = 1口当たり基準価額(通常1円)× 口数 + 再投資されていない未収分配金 − 未収分配金に対する源泉所得税相当額 − 信託財産留保額・解約手数料
実務上は、ほぼ預金残高と同じ金額になります。
計算例:一般の投資信託
基準価額1万2,000円(1万口当たり)、保有口数500万口、取得時の基準価額1万円、信託財産留保額0.3%の場合。
- 基準価額 × 口数:1万2,000円 × 500万口 ÷ 1万口 = 600万円
- 含み益:(1万2,000円 − 1万円)× 500 = 100万円
- 源泉所得税相当額:100万円 × 20.315% = 20万3,150円
- 信託財産留保額:600万円 × 0.3% = 1万8,000円
- 評価額:600万円 − 20万3,150円 − 1万8,000円 = 577万8,850円
残高証明書の時価600万円より約22万円低い評価になります。
注意点
NISA口座で保有する投資信託は、売却益が非課税のため源泉所得税相当額の控除はありません。また、取得価額が分からないと含み益が計算できないため、取引残高報告書や特定口座の年間取引報告書で確認します。外貨建ての投資信託は、課税時期のTTB(対顧客電信買相場)で円換算します。種類を確認するには、残高証明書の商品名と目論見書を照らし合わせるのが確実です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。