相続税の納税義務者の3区分|無制限・制限納税義務者で課税される財産の範囲が変わる

相続税は、相続人と亡くなった方の住所や国籍によって「居住無制限」「非居住無制限」「制限」の3つの納税義務者に分かれ、国外財産に課税されるかが変わります。区分の判定の順番と課税範囲、間違えやすい例を整理します。

相続税は「誰が、どこに住んでいて、どの国籍か」によって、課税される財産の範囲が変わります。国内の財産だけが課税されるのか、海外の財産まで課税されるのかを決めるのが納税義務者の区分です。海外に住む家族がいる方、海外に資産を持つ方は、まずこの区分を確認する必要があります。

3つの区分と課税範囲

区分 典型例 課税される財産
居住無制限納税義務者 相続時に日本に住所がある相続人 国内・国外のすべて
非居住無制限納税義務者 海外在住だが日本国籍で、本人または被相続人が過去10年以内に日本に住所があった 国内・国外のすべて
制限納税義務者 上記に当たらない海外在住の相続人など 国内財産のみ

「無制限」は全世界の財産に課税され、「制限」は日本国内にある財産にだけ課税される、と覚えると分かりやすいでしょう。

判定は「相続人」と「被相続人」の両方を見る

区分は相続人(財産をもらう人)ごとに判定しますが、その際に被相続人(亡くなった方)の住所歴も影響します。おおまかな流れは次のとおりです。

  1. 相続人が相続開始時に日本に住所があれば、原則として居住無制限納税義務者(在留資格で短期間滞在する「一時居住者」は例外あり)
  2. 相続人が海外在住でも、日本国籍があり、相続人または被相続人のどちらかが相続開始前10年以内に日本に住所があれば、非居住無制限納税義務者
  3. 相続人が海外在住で日本国籍がない場合でも、被相続人が日本に住所がある(または10年以内に住所があった)日本人であれば、原則として無制限納税義務者
  4. いずれにも当たらなければ制限納税義務者

たとえば、父が大阪に住んだまま亡くなり、子が20年前から米国に住んで米国籍を取得している場合、子は被相続人が日本に住所を持つため無制限納税義務者となり、子が米国で持つ財産も日本の課税対象には入りません(子が取得する財産が課税対象です)。一方、父も子も15年前から海外に住み、父が日本国籍を持たない外国人なら、子は制限納税義務者になり得ます。

区分を間違えやすいケース

  • 「海外に住んでいるから国外財産は申告不要」と思い込む。実際は10年ルールや被相続人の住所で無制限になることが多い
  • 制限納税義務者でも、国内の不動産・預金・国内法人の株式は課税対象
  • 制限納税義務者には債務控除の範囲や、未成年者控除・障害者控除の適用に制限がある

区分の判定は条文が複雑で、2017年と2021年の改正で変わっています。海外に関わる相続では、住所の履歴(出入国記録や在留証明)を時系列で整理し、最新の法令を確認してください。判定に迷う場合は無料相談で区分を整理します。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

ご自身のケースではどうなるか、無料相談で確認できます。

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