会社経営者が元気なうちに進めておきたい相続・事業承継の準備5つ

経営者の相続は、自社株の評価、役員借入金、会社の連帯保証、後継者への株式集中など、一般の相続にない論点が重なります。遺言・株価対策・退職金・保険・事業承継税制の5つの準備を解説します。

会社経営者の相続は、個人の財産に加えて「会社をどう引き継ぐか」が絡むため、準備を怠ると相続税の問題と経営の混乱が同時に起きます。元気なうちに進めておきたい準備を5つにまとめました。

1. 自社株の評価を知る

まず、自社株の相続税評価額を一度計算してみることが出発点です。業績の良い会社では評価が想像以上に高く、納税資金の問題が明らかになります。

2. 遺言で株式を後継者に集中させる

株式が相続人に分散すると、経営の意思決定が難しくなります。遺言で後継者に株式を相続させ、他の相続人には預貯金や保険金で公平を図る設計が基本です。遺留分への配慮も必要で、経営承継円滑化法の「遺留分に関する民法の特例」(株式を遺留分の計算から除外する合意)も検討できます。

3. 株価対策と相続時精算課税

役員退職金の支給、配当方針の見直し、不要資産の整理などで株価が下がったタイミングで、相続時精算課税を使って後継者に株式を贈与する方法があります。贈与時の評価で固定されるため、その後の業績向上分は相続税の対象になりません。

4. 退職金と生命保険で納税資金を準備する

会社が経営者を被保険者とする生命保険に加入し、死亡退職金の原資にします。遺族は死亡退職金(500万円×法定相続人の数が非課税)で納税資金を確保でき、会社は損金処理できます。

5. 事業承継税制の利用を検討する

要件を満たせば自社株の相続税・贈与税が全額猶予されます。特例措置は期限があり(計画提出は2026年3月末、相続・贈与は2027年末まで)、長期の要件維持が必要なので、利用するかどうかは慎重に判断します。

役員借入金(会社への貸付金)や会社の連帯保証の整理も含め、顧問税理士と相続専門の税理士が連携して進めるのが理想です。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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