遺産の大半が自宅で、同居していた長男が相続したいが、他の兄弟にも公平に分けたい。こうした場合に使われるのが代償分割です。長男が自宅を取得し、代わりに自分の財産から兄弟に金銭(代償金)を支払います。
贈与税がかからない条件
代償金の支払いは遺産分割の一部なので、遺産分割協議書に代償分割であることと金額を明記しておけば贈与税はかかりません。協議書に書かずに後から支払うと、単なる贈与とみなされるおそれがあります。
相続税の計算
代償金を支払った人は「取得した財産の価額 − 代償金」、受け取った人は「取得した財産 + 代償金」として相続税を計算します。相続税の総額は変わりません。なお、代償金の額を時価ベースで決めた場合には、相続税評価額に換算する調整計算が認められています。
代償金の決め方
不動産の相続税評価額ではなく、時価(実勢価格)を基準に話し合うのが一般的です。不動産会社の査定や不動産鑑定を参考にします。取得する人の支払能力も考慮し、分割払いにする場合は協議書に支払時期を明記します。
不動産で代償する場合の注意
代償金の代わりに自分の所有する別の不動産を渡すと、渡した側に譲渡所得税がかかります(時価で売却したものとみなされるため)。代償は金銭で行うのが基本です。
生命保険を活用して、不動産を取得する相続人を受取人にしておけば、代償金の原資を準備できます。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。