相続で兄弟が2つの土地をそれぞれ2分の1ずつ共有してしまったケースは多く見られます。持分を交換して「A地は兄の単独、B地は弟の単独」にすれば共有は解消できますが、持分の交換は税法上「譲渡」です。そこで使うのが所得税の「固定資産の交換の特例」で、要件を満たせば交換時の課税がされません。
特例の主な要件
- 交換する資産がいずれも固定資産であること(不動産業者の棚卸資産は対象外)
- 互いに1年以上所有していたこと(相続で取得した場合は被相続人の所有期間を引き継ぐ)
- 交換のために取得した資産でないこと
- 土地と土地、建物と建物など同じ種類の資産であること(借地権は土地に含まれる)
- 交換後に、譲渡した資産と同じ用途に使うこと(宅地なら宅地として)
- 交換する資産の時価の差が、高いほうの時価の20%以内であること
要件を満たしても自動では適用されず、交換した年の翌年に確定申告をして特例を選択する必要があります。
共有解消の計算例
兄と弟がA地(時価3,000万円)とB地(時価2,600万円)をそれぞれ2分の1ずつ共有しているとします。兄がB地の持分(1,300万円)を弟に渡し、弟がA地の持分(1,500万円)を兄に渡すと、兄はA地の単独所有、弟はB地の単独所有になります。
譲渡する資産の時価の差=1,500万円−1,300万円=200万円 高いほうの時価の20%=1,500万円×20%=300万円 200万円≦300万円なので、時価の差は要件内です。
差額の200万円を弟が兄に現金で払った場合、弟が受け取った現金部分(交換差金)については、兄の側で譲渡所得として課税されます。交換差金をゼロにしたいなら、持分割合の調整や他の資産の組み合わせで時価を揃えます。
よくある誤りと注意点
- 相続税評価額ではなく「時価」で判定するため、路線価だけで20%以内と判断すると要件を外れることがある
- 同じ土地の持分同士(A地の持分とA地の持分)は交換の対象になり得ない。一筆の土地を分筆して分ける方法が別途ある
- 交換で取得した資産の取得費は、譲渡した資産の取得費を引き継ぐ。将来売却するときの譲渡所得は大きくなる
相続税の申告と同時に考える
共有になった後に交換で解消するより、遺産分割協議の段階で「A地は兄、B地は弟」と決めておけば、譲渡も特例も不要です。相続した不動産が複数あるなら、遺産分割の段階で単独所有にする分け方を無料相談で検討してください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。