金地金(インゴット)や金貨は、近年の価格上昇で相続財産の中で大きな割合を占めることが増えています。評価方法と、税務署に把握される仕組みを押さえておきましょう。
評価の基本:業者の買取価格
金地金・プラチナ地金は、亡くなった日の貴金属取扱業者の買取価格にグラム数を掛けて評価します。
買取価格とは、業者が顧客から金を買い取るときの価格で、販売価格(小売価格)より数%低く設定されています。評価は「売ったらいくらになるか」で考えるため、小売価格ではなく買取価格を使う点がポイントです。
評価額 = 課税時期の買取価格(1g当たり・税込)× グラム数
業者ごとに買取価格は少し異なりますが、主要な業者が公表している当日の店頭買取価格を使うのが一般的です。亡くなった日が休業日なら、直前の営業日の価格を使います。
計算例
金地金500g(100gのバー5枚)を保有し、亡くなった日の買取価格が1g当たり1万5,000円(税込)だった場合。
- 評価額:1万5,000円 × 500g = 750万円
プラチナ地金200gで買取価格が1g当たり6,000円なら、6,000円 × 200g = 120万円です。
金貨の評価
- 地金型金貨(メイプルリーフ金貨、ウィーン金貨など、金の重量で取引されるもの):業者の金貨の買取価格で評価します。地金とほぼ同じ考え方です
- 記念金貨・収集価値のある金貨:金の重量だけでなく希少性で価格が決まるため、課税時期の市場での取引価格(コイン商の買取価格など)で評価します。取引価格が分からない場合は、専門業者の査定を受けます
ジュエリー・貴金属製品
指輪やネックレスなどの貴金属製品は、金の含有量を基にした買取価格で評価するか、売買実例価額や精通者(専門業者)の意見価格で評価します。日常的に使用する装身具で1点5万円以下程度のものは家庭用財産としてまとめて計上することが多いですが、高額なものは個別に評価します。
税務署が把握する仕組み
金地金の売却時に1回の取引が200万円を超える場合、業者は税務署に支払調書を提出します。また、購入時の記録や、金地金を保管する業者の預かり残高、相続人が売却した際の調書などから、相続財産の存在が把握されます。「申告しなければ分からない」財産ではありません。
実務上の対応
亡くなった方の金地金は、自宅の金庫や貸金庫、業者の積立口座(純金積立)などに分散していることがあります。購入時の計算書や積立の残高報告書を探し、現物のグラム数を確認してください。また、相続後に売却すると譲渡所得(取得費は亡くなった方の購入価額を引き継ぐ)の対象になるため、購入時の記録は相続後も保管しておくことが大切です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。