他人の土地に囲まれて道路に出られない土地や、細い通路でしか道路につながっておらず建築基準法の接道義務を満たさない土地は「無道路地」として評価します。建物の建て替えができないなど利用価値が大きく下がるため、相続税評価でも大幅な減額が認められます。ただし計算の手順が独特で、順番を間違えやすい論点です。
無道路地に当たる土地
- 道路に接していない袋地
- 道路には接しているが、接する幅が2m未満などで建築基準法上の接道義務を満たさない土地
接道義務を満たさない場合は、不足している幅の分だけ通路を広げる必要があると考えて評価します。すでに十分な幅の通路(他人の土地の通行権)を持っている場合は無道路地にならないことがあります。
評価の手順
- 近くの路線価を基準にする:無道路地が面しているとみなす最も近い路線(通常は通路を開設するとした道路)の路線価を使います。
- 通路を含めた土地として評価する:道路から無道路地までを結ぶ通路部分を想定し、通路部分と無道路地を合わせた土地の奥行価格補正・不整形地補正などを行って、全体の価額を計算します。
- 通路部分の価額を差し引く:全体の価額から通路部分だけの価額を差し引き、無道路地部分の価額を出します。
- 通路開設費用相当額を控除する:接道義務を満たす最小限の通路(幅2mが目安)の価額(路線価 × 通路の地積)を控除します。ただし控除額は、手順3で出した価額の40%が上限です。
計算例
路線価20万円/㎡、通路を含めた全体の評価額(補正後)が5,000万円、通路部分の価額が400万円、必要な通路(幅2m × 長さ15m = 30㎡)の場合。
- 無道路地部分の価額:5,000万円 − 400万円 = 4,600万円
- 通路開設費用相当額:20万円 × 30㎡ = 600万円
- 控除限度額:4,600万円 × 40% = 1,840万円 → 600万円は限度内
- 評価額:4,600万円 − 600万円 = 4,000万円
注意点
無道路地の評価は、どの道路に通路を開設するとみなすか、通路の幅をいくらにするかで結果が変わります。また、無道路地を通路部分の所有者が相続して一体で使う場合など、実際の利用状況によっては別の評価が適切なこともあります。図面上の判断だけでなく、法務局の公図と現地の確認、場合によっては建築確認の可否を役所で調べたうえで評価することが大切です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。