路線価方式で土地を評価するとき、最初に必ず使うのが「奥行価格補正率」です。道路から奥に向かう長さ(奥行)が極端に短い土地や長い土地は使いにくいため、路線価にこの補正率を掛けて評価額を下げます。この記事では、補正率の決まり方と奥行距離の計算方法を具体例で説明します。
奥行価格補正率の決まり方
補正率は、国税庁が公表している付表に「地区区分」と「奥行距離」の組み合わせで定められています。地区区分とは、路線価図で路線価の数字を囲む記号(丸や四角など)で示される、ビル街・高度商業・繁華街・普通商業・併用住宅・普通住宅・中小工場・大工場の7区分です。
たとえば普通住宅地区では、奥行がおおむね10m以上24m未満なら補正率は1.00(補正なし)です。奥行が4m未満と極端に短い場合や、32mを超えて長くなっていく場合は、0.9台から0.8台へと段階的に下がります。商業地区では長い奥行がある程度まで許容されるなど、地区によって区切りが異なるため、必ず付表で確認してください。
奥行距離の求め方
奥行距離は、単純に図面上の長さを測るのではなく、次のように求めるのが原則です。
- 地積(面積)÷ 間口距離 を計算する
- その土地を囲む「想定整形地」の奥行と比べ、短いほうを奥行距離とする
三角形や台形のように奥行が一定でない土地でも、この方法で計算上の奥行を出します。
計算例
正面路線価が20万円/㎡、普通住宅地区、間口10m、地積300㎡の土地を考えます。
- 奥行距離:300㎡ ÷ 10m = 30m
- 付表で普通住宅地区・奥行30mの補正率を確認(0.9台の値になります)
- 仮に0.95とすると、1㎡当たり評価額は 20万円 × 0.95 = 19万円
- 土地全体では 19万円 × 300㎡ = 5,700万円
補正率が1.00なら6,000万円ですから、奥行が長いだけで300万円評価が下がる計算です。
よくある誤りと注意点
間口を測る位置を誤ると奥行距離が変わります。間口は道路に接している部分の長さで、隅切りがある場合は隅切り前の長さで測るのが一般的です。また、奥行価格補正は他の補正(不整形地補正・間口狭小補正など)と組み合わせて使うため、順番を間違えると評価額がずれます。測量図や公図、現地の確認を踏まえた評価が必要なため、土地の数が多い場合は相続専門の税理士に確認することをおすすめします。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。