土地を所有せずに建物だけを持っているケースには、定期借地権付きの分譲マンションと、借地上に建てた一戸建てがあります。土地がなくても、借地権という権利そのものが財産として評価されます。
定期借地権付き分譲マンション
土地を50年などの一般定期借地権で借り、その上に建てられた分譲マンションです。区分所有者は建物の専有部分と、敷地の定期借地権の準共有持分を持っています。
建物部分:固定資産税評価額を基に評価します。2024年以降の区分所有マンションの評価ルール(評価乖離率・区分所有補正率)は、敷地が借地権であっても適用されます。敷地持分狭小度の計算では、定期借地権の準共有持分に対応する面積を敷地利用権の面積として使います。
敷地部分:一般定期借地権として評価します。設定時に借地権者が得た経済的利益と残存期間に基づいて計算するのが原則で、資料が揃わない場合は国税庁の簡便な方法で評価します。契約終了が近づくほど敷地部分の評価額は小さくなります。
保証金の返還請求権
定期借地権付きマンションでは、分譲時に地主へ保証金を預けていることが一般的で、契約終了時に返還されます。この保証金返還請求権も相続財産です。返還までの期間に応じて基準年利率の複利現価率で割り引いた金額で評価し、無利息の場合はその分も考慮します。マンションの価格に含めて考えがちですが、別の財産として計上が必要です。
借地上の一戸建て
普通借地権で土地を借りて自宅を建てている場合は、次の2つを別々に評価します。
- 建物:固定資産税評価額(自宅なら × 1.0、貸家なら × 0.7)
- 借地権:敷地の自用地評価額 × 借地権割合(路線価図のA〜G)
たとえば敷地の自用地評価額4,000万円、借地権割合60%、建物の固定資産税評価額800万円なら、借地権2,400万円 + 建物800万円 = 3,200万円が評価額です。
計算例:定期借地権付きマンション
専有部分の従来の建物評価額800万円(区分所有補正率1.2の場合は960万円)、敷地の定期借地権の評価額が残存期間に基づき300万円、保証金300万円(返還まで25年、複利現価率を仮に0.48)の場合。
- 建物:960万円
- 定期借地権:300万円
- 保証金返還請求権:300万円 × 0.48 = 144万円
- 合計:1,404万円
注意点
借地上の建物では、小規模宅地等の特例は借地権に対して適用できます(自宅なら330㎡まで80%減)。また、地主が親族で地代を払っていない「使用貸借」の場合は借地権の評価はゼロとなり、代わりに地主側の土地が自用地として評価されます。契約書と地代の支払記録で、借地権の種類と有無を確認することが出発点です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。