「贈与税の配偶者控除」、通称おしどり贈与は、長年連れ添った夫婦の間で自宅を贈与するときの特例です。暦年贈与の基礎控除110万円とあわせて、最高2,110万円まで贈与税がかかりません。
要件
- 婚姻期間が20年以上の夫婦(内縁は不可)
- 贈与するのが居住用の不動産、またはその取得資金
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに実際に住み、その後も住み続ける見込みであること
- 同じ配偶者からは一生に一度しか使えない
- 贈与税がゼロでも贈与税の申告が必要
相続税での扱い
通常、相続人への贈与は相続開始前の一定期間(最長7年)分が相続財産に足し戻されますが、おしどり贈与で非課税になった部分は足し戻しの対象外です。相続の直前の贈与でも効果が残ります。また、2019年の民法改正により、遺産分割でも原則として特別受益の持ち戻しが免除されます。
必ずしも有利とは限らない
配偶者には相続のときに「1億6,000万円または法定相続分まで非課税」という大きな税額軽減があります。そのため、相続税の節税効果だけを見ると、おしどり贈与を使わなくても税額が変わらないケースが少なくありません。さらに贈与では登録免許税(2%)と不動産取得税がかかります(相続なら登録免許税0.4%、不動産取得税なし)。
有効なのは、配偶者の生活の安定を確実にしたい場合や、二次相続まで含めた試算で有利になる場合です。試算したうえで判断しましょう。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。