相続税の「10年ルール」とは?海外に10年超住む家族と外国人の課税範囲

被相続人と相続人の両方が相続開始前10年を超えて海外に住んでいれば、国外財産は日本の相続税の対象外になります。一時居住者・外国人被相続人の例外、在留資格による扱いの違いを4つのパターン表で解説します。

海外に移住した家族の相続で必ず出てくるのが「10年ルール」です。結論から言うと、被相続人と相続人の両方が、相続開始前10年以内に日本に住所を持たなかった場合に限り、国外財産は日本の相続税の対象外になります。どちらか一方でも10年以内に日本に住んでいれば、国外財産にも課税されます。

10年ルールの基本

日本国籍を持つ人について、次の4パターンで考えます。

被相続人 相続人 国外財産への課税
日本に住所あり 海外在住 課税される
海外10年超 日本に住所あり 課税される
海外10年超 海外10年超(日本国籍) 課税されない
海外10年超 海外10年以内 課税される

「10年」は相続開始の日からさかのぼって数えます。たとえば2016年8月に出国し、2026年10月に相続が開始したなら、10年を超えているので要件を満たします。出国日は旅券の出入国記録や住民票の除票で確認します。

外国人の扱い:一時居住者と外国人被相続人

日本に住む外国人については、出入国管理法の在留資格で判定が分かれます。

  • 一時居住者:就労などの在留資格(別表第一)で日本に住み、相続開始前15年以内に日本に住所があった期間が合計10年以下の相続人。相続人がこれに当たり、かつ被相続人も外国人被相続人や非居住被相続人であれば、国外財産は課税されません
  • 外国人被相続人:在留資格を持って日本に住んでいた外国人の被相続人。相続人が海外在住で日本国籍がない場合などは、国外財産が課税対象外になります
  • 永住者や日本人の配偶者など(別表第二)の在留資格は、この例外の対象外です

高度人材として日本に赴任した外国人が亡くなり、本国に住む家族が相続する場合、日本の課税対象は原則として国内財産だけになる、というのが典型的な例です。

注意点

  • 日本国籍の人が海外に住んでいても、10年以内に日本に住所があれば全世界課税。「海外在住=国外財産は非課税」ではありません
  • 日本国籍を離脱した直後の相続については、特別な取り扱いがあるため個別に確認が必要です
  • 住所は「生活の本拠」で判断され、住民票を抜いただけでは足りないと判断されることがあります

このルールは2017年の改正で5年から10年に延び、2021年には外国人の扱いが見直されました。改正の前後で結論が変わる論点なので、最新の情報を確認したうえで判定してください。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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