無制限納税義務者の相続では、海外にある不動産・預金・株式も日本の相続税の課税対象です。評価のルールは国内財産と同じ財産評価基本通達が基本ですが、路線価や固定資産税評価額がない海外不動産は、評価の根拠を自分で用意する必要があります。本記事では財産の種類ごとの評価方法と、為替換算の決まりを整理します。
財産の種類別の評価方法
- 海外預金:相続開始日の残高に、既経過利息を加えた額。現地銀行の残高証明書(英文でよい)を取り寄せます
- 海外上場株式:国内と同様に、相続開始日の終値など4つの価格のうち最も低いものを採用できるのが原則です。現地の証券会社の明細で確認します
- 海外不動産:路線価も固定資産税評価額もないため、通達では「売買実例価額」「精通者意見価格」などを参考に評価するとされています。実務では現地の不動産鑑定士の鑑定書、不動産業者の査定書、固定資産税(Property Tax)の評価額通知などを根拠にします
- 海外の生命保険:契約者・受取人の関係で国内と同様に判定し、死亡保険金額を保険会社の支払通知で確認します
海外不動産は「現地の課税評価額」をそのまま使えるとは限りません。国によっては市場価格より大幅に低い評価額が付いていることがあり、時価との差が大きい場合は鑑定が求められることがあります。
為替換算のレート
外貨建ての財産は、**相続開始日における、納税義務者の取引金融機関が公表する対顧客直物電信買相場(TTB)**で円換算します。借入金などの債務は電信売相場(TTS)です。相続開始日が土日などで相場がない場合は、直前の公表日の相場を使います。
例:米ドル預金 10万ドル、相続開始日のTTBが1ドル=150.00円 10万ドル × 150.00円 = 1,500万円
同じ日のレートでも金融機関によって差があるため、どの金融機関の相場を使ったかの記録(ウェブサイトの印刷など)を残しておきます。
現地の証明資料の集め方
海外の金融機関は、日本の「残高証明書」という書式を知らないことが多く、死亡日時点の残高を示す Statement や Balance Confirmation を依頼する形になります。本人確認として、相続人のパスポート、死亡証明書の英訳、公証人の認証やアポスティーユを求められることもあります。取り寄せに数か月かかるため、相続が開始したらすぐに着手してください。
資料がそろう前に申告期限が来たら、入手できた範囲で評価して期限内に申告し、確定後に修正申告や更正の請求で調整します。評価の根拠づくりに不安があれば無料相談でご相談ください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。