スマートフォンの中にある「デジタルの価値」は、相続のときに扱いが分かれます。換金や譲渡ができる規約になっているものは相続財産になり得ますが、本人限りで消滅するものは財産に数えません。NFT・ゲーム内アイテム・ポイント・マイルについて、財産になるかどうかの判断と評価の考え方を整理します。
財産性を判断する2つの基準
- 規約上、第三者に移転できるか:多くのポイントプログラムやオンラインゲームの規約は、アカウントや資産の譲渡・相続を認めていません。この場合、法律上は被相続人の死亡とともに権利が消滅する扱いになり、相続財産には含めません
- 経済的価値があるか:移転できても、市場で売買されず換金もできないものは、評価額がつきません
この2つを満たすものが相続税の課税対象になります。判断に迷うものは、サービス提供者の規約を確認するのが出発点です。
種類別の整理
| 種類 | 相続できるか | 評価の考え方 |
|---|---|---|
| NFT | ウォレットの秘密鍵があれば移転可能。暗号資産と同様に扱う | 相続開始日のマーケットプレイスの売買価格や直近の取引実例。市場がなければ個別に判断 |
| ゲーム内アイテム・通貨 | 多くの規約で譲渡・相続不可 | 原則として財産に含めない。換金性があり移転できるものは例外 |
| 共通ポイント・店舗ポイント | 多くは本人限り。家族への統合を認める事業者もある | 引き継げる場合は1ポイント=円換算 |
| 航空会社のマイル | 相続手続きを設けている航空会社がある(期限内の申請が必要) | 引き継げるマイルの換算価値 |
航空会社のマイルは、法定相続人が死亡後一定期間内に申請すれば引き継げる制度がある例が知られています。期限や必要書類は会社ごとに異なり、変更もあるため、各社の最新の案内を確認してください。
相続税申告での扱い
引き継げるポイントやマイルは、少額であれば家庭用財産としてまとめて申告することが多く、それ自体で税額が大きく変わることは稀です。一方、NFTは数百万円の価値が付くものもあり、暗号資産と一緒にウォレットの中身を確認する必要があります。
NFTは市場価格が不安定で売買実例がない作品も多いため、「いくらで評価するか」より先に「どのウォレットに何があるか」の特定が実務の中心になります。被相続人が使っていたマーケットプレイスのアカウント、ウォレットアドレス、秘密鍵の保管場所を探すところから始めてください。
生前の整理が最も有効
デジタル資産は本人以外が存在を知る手がかりが乏しい財産です。利用しているサービスの一覧を作り、信頼できる家族に保管場所だけ伝えておくと、相続時の手続きが大きく変わります。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。