親の家を相続して、そのまま自分の住まいにする方は多くいます。購入と違って住宅ローン控除は使えませんが、代わりに相続ならではの税の軽減があります。相続時・住んでいる間・将来売るときの3つの場面に分けて整理します。
相続時:不動産取得税はかからず、小規模宅地等の特例を検討
相続による不動産の取得には不動産取得税がかかりません(遺贈のうち相続人以外への特定遺贈は課税)。登記の登録免許税は固定資産税評価額の0.4%です。
相続税では、被相続人と同居していた相続人や、持ち家のない別居の相続人(いわゆる家なき子)が要件を満たす場合に、自宅の土地330㎡まで評価額が80%減額される小規模宅地等の特例が使えます。
住んでいる間:固定資産税と住宅ローン控除
| 項目 | 扱い |
|---|---|
| 固定資産税 | 相続した翌年の1月1日から相続人に課税。死亡年の分は被相続人の債務として債務控除 |
| 住宅ローン控除 | 使えない(借入れで住宅を取得・新築・増改築した場合の制度のため) |
| リフォームのための借入れ | 一定の増改築で要件を満たせば、増改築分について住宅ローン控除の対象になり得る |
| 火災保険・地震保険 | 契約者を変更。地震保険料は相続人の保険料控除の対象 |
住宅ローン控除が使えないのは、相続によって無償で取得しているからです。ただし、借入れで大規模にリフォームする場合は、増改築に係る住宅ローン控除の要件(工事費100万円超、床面積50㎡以上など)を満たせば適用を受けられる可能性があります。要件は最新の情報を確認してください。
将来売るとき:3,000万円の特別控除と取得費
相続した家に住み続けた後で売却する場合、その家は相続人自身の居住用財産なので、居住用財産の3,000万円特別控除が使えます。相続した空き家を売る場合の空き家特例とは別の制度で、住んでいた実績があれば期限の制限はありません。
取得費は被相続人の取得費を引き継ぎます。親が何十年も前に建てた家は取得費が分からないことが多く、その場合は売却代金の5%を取得費とするか、建築当時の資料や標準的な建築価額から推計します。
例:売却代金 4,000万円、取得費不明(5%=200万円)、譲渡費用 100万円 譲渡所得 = 4,000万円 − 200万円 − 100万円 = 3,700万円 3,000万円控除後 = 700万円 → 所有期間が10年超なら軽減税率も検討
所有期間は被相続人の取得日から通算されるため、10年超の軽減税率の判定でも有利に働きます。
実務上の対応
相続登記(3年以内)、固定資産税の納税通知の宛先変更、火災保険の名義変更までが最初の手続きです。将来の売却に備えて、取得費の資料(建築請負契約書、購入時の売買契約書)を今のうちに探しておくことをおすすめします。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。