相続でもらった財産に所得税はかからない|相続後の利息・配当・家賃は相続人の所得

相続や遺贈で取得した財産には相続税がかかる代わりに所得税は非課税です。ただし相続開始後に生じた預金の利息、株式の配当、不動産の家賃は相続人の所得となり確定申告が必要なことがあります。相続税と所得税の線引きを時系列で解説します。

「相続で2,000万円の預金をもらったら、所得税の確定申告も必要ですか」という質問をよく受けます。答えは、相続で取得した財産そのものには所得税はかかりません。相続税と所得税の二重課税を避けるため、所得税法で非課税と定められています。一方、相続した財産が相続後に生み出す利息・配当・家賃は、相続人の所得として課税されます。この線引きを時系列で整理します。

相続財産そのものは所得税非課税

相続・遺贈・死因贈与で取得した財産は、所得税法上、所得ではありません。預貯金、不動産、株式、生命保険金(相続税の対象になるもの)のいずれも同じです。相続税の申告が必要かどうかとは別の話で、相続税がかからない規模の相続でも、所得税の申告は不要です。

ただし、次のものは「相続」ではなく所得税の対象になるため注意が必要です。

  • 相続人自身が保険料を負担していた生命保険の死亡保険金(一時所得)
  • 遺族が受け取る未支給年金(受け取った遺族の一時所得)
  • 相続開始後に支給が確定した還付加算金(雑所得)

相続開始後に生じた収益は相続人の所得

相続開始日を境に、財産から生じる収益の帰属が変わります。

収益 相続開始日まで 相続開始日の翌日以降
預金の利息 被相続人の所得(既経過利息は相続財産) 相続人の利子所得(源泉分離課税)
株式の配当 被相続人の配当所得 相続人の配当所得
不動産の家賃 被相続人の不動産所得(準確定申告) 相続人の不動産所得

家賃収入がある不動産を相続した場合、相続開始日の翌日以降の家賃は相続人の収入です。遺産分割が終わるまでの家賃は、各相続人が法定相続分に応じて取得するとされており、分割協議で誰が不動産を取得するかが決まっても、それまでの家賃収入をさかのぼって一人に帰属させることはできません(相続人全員の合意があれば別途調整は可能です)。

例:相続開始が4月30日、月額家賃 20万円、相続人は子2人、遺産分割は翌年3月成立 5月〜翌年3月の家賃 220万円 → 各相続人が110万円ずつ不動産所得として確定申告

相続した財産を売ったときも所得税

相続した不動産や株式を売却した場合の譲渡所得は、相続人の所得です。取得費は被相続人の取得費を引き継ぎ、相続税の申告期限から3年以内の売却なら取得費加算の特例で税額を減らせます。

実務上の対応

準確定申告(4か月以内)で被相続人の所得を精算した後、相続人は自分の確定申告で相続後の収益を申告します。賃貸不動産を相続したときは、相続後の家賃の管理口座、固定資産税や修繕費の支払い記録を相続人ごとに整理しておくと、確定申告と遺産分割の両方がスムーズに進みます。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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