遺産分割では、「兄は家を建てるときに親から2,000万円もらっている」「私は10年間親の介護をしてきた」といった事情を考慮して、法定相続分を調整することがあります。それが特別受益と寄与分です。
特別受益
相続人が亡くなった方から、生前の贈与(住宅資金、開業資金、結婚の持参金など)や遺贈で受けた利益を「特別受益」といい、公平のため遺産に持ち戻して各人の取り分を計算します。
例:遺産6,000万円、子2人。兄が生前に2,000万円の贈与を受けていた場合、持ち戻し後の遺産は8,000万円。各人の取り分は4,000万円ずつだが、兄はすでに2,000万円受け取っているので、遺産からは兄2,000万円・弟4,000万円を取得する
2019年の改正で、婚姻20年以上の配偶者への自宅の贈与は、持ち戻しを免除する意思があったものと推定されます。また、遺産分割における特別受益の主張は、相続開始から10年を経過すると原則できなくなりました(2023年〜)。
寄与分
亡くなった方の事業を無償で手伝った、財産を提供した、長期間の療養看護をしたなど、財産の維持・増加に特別の貢献をした相続人には、法定相続分に寄与分を上乗せできます。通常の親子間の扶養の範囲を超える貢献が必要で、認められるハードルは高めです。
相続人でない人(子の配偶者など)が介護をした場合は、「特別寄与料」を相続人に請求できる制度があります(2019年〜)。受け取った特別寄与料には相続税がかかり、2割加算の対象です。
相続税の計算とは別
特別受益の持ち戻しは、あくまで遺産分割の取り分を決めるための民法上のルールです。相続税の計算では、相続開始前7年以内(段階的に延長中)の贈与のみが加算されるなど、別の基準で計算します。混同しないよう注意しましょう。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。