相続財産を寄附したときの所得税|みなし譲渡課税と非課税の承認(措置法40条)の関係

相続した不動産や株式を法人に寄附すると、相続税の非課税とは別に、時価で売ったものとみなして所得税がかかることがあります。国や自治体への寄附は課税されず、公益法人への寄附は国税庁長官の承認で非課税になる仕組みを解説します。

相続した不動産や株式を公益法人に寄附して相続税の非課税を受けようとする場合、もう一つ確認すべき税金があります。所得税の「みなし譲渡」です。値上がりしている財産を法人に無償で渡すと、時価で売ったものとみなして譲渡所得に所得税がかかることがあります。相続税が非課税でも所得税がかかれば意味がないため、両方をセットで考える必要があります。

みなし譲渡課税とは

個人が法人に財産を贈与(寄附)すると、所得税法上は時価で譲渡したものとみなされます。取得費より時価が高ければ、その差額が譲渡所得として課税されます。相続した財産の取得費は被相続人の取得費を引き継ぐため、先代が古くに取得した土地などは含み益が大きく、課税額も大きくなりがちです。

例えば、被相続人が3,000万円で買った土地(現在の時価8,000万円)を相続人が公益法人に寄附すると、原則として8,000万円-3,000万円=5,000万円の譲渡所得が相続人に生じます。

国・地方公共団体への寄附は課税されない

国や地方公共団体に財産を寄附した場合は、所得税のみなし譲渡課税は適用されません。承認などの手続きも不要です。相続税の非課税と合わせて、税負担なく寄附できるのはこのケースです。

公益法人への寄附は承認が必要

公益社団法人・公益財団法人、学校法人、社会福祉法人などへの寄附は、国税庁長官の承認を受けた場合に限り、みなし譲渡課税が非課税になります(租税特別措置法40条の承認)。承認の主な要件は次の通りです。

  • 寄附が教育や科学の振興など公益の増進に著しく寄与すること
  • 寄附財産が、寄附の日から2年以内にその法人の公益目的事業に直接使われること
  • 寄附によって寄附者やその親族の税負担が不当に減らないこと

承認の申請は、寄附の日から4か月以内(またはその年の確定申告期限までのいずれか早い日)に行います。承認を受けるまでの間、所得税の申告は承認の申請中として扱われます。

寄附先 相続税 所得税(みなし譲渡)
国・地方公共団体 非課税 課税されない
公益法人等(承認あり) 非課税(要件を満たす法人) 非課税
公益法人等(承認なし) 非課税(要件を満たす法人) 課税される

実務上の対応

現物の寄附を検討する場合、寄附先の法人が承認申請に協力できる体制かどうかを事前に確認することが大切です。不動産を受け入れられない法人も多く、現金化してから寄附する場合は相続税の非課税を受けられない代わりに、譲渡所得の取得費加算の特例や寄附金控除を検討します。税金の全体像を無料相談で整理してからお決めください。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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