結婚・子育て資金の一括贈与は、18歳以上50歳未満の子や孫に、結婚や出産・育児の費用を1,000万円までまとめて非課税で渡せる制度です。教育資金の一括贈与と似ていますが、贈与者が亡くなったときの扱いが厳しい点に特徴があります。
制度の概要
- 受贈者: 18歳以上50歳未満の子・孫(前年の所得1,000万円以下)
- 非課税限度額: 1,000万円(うち結婚費用は300万円まで)
- 使途: 挙式・披露宴費用、新居の家賃・引越費用、不妊治療・出産費用、産後ケア、子の医療費・保育料など
- 方法: 信託銀行などに専用口座を開き、領収書を提出して払い出す
非課税になる結婚費用は入籍の前後1年以内に支払うものに限られ、婚約指輪や新婚旅行は対象外です。家賃は結婚後3年以内が目安とされています。
贈与者が亡くなったときは残額が全額加算
教育資金の制度では、受贈者が23歳未満や在学中なら加算されません。しかし結婚・子育て資金では、贈与者が亡くなった時点の残額は年齢に関係なく全額が相続税の課税価格に加算されます。2021年4月1日以後の贈与分は、受贈者が孫なら相続税の2割加算の対象にもなります。
例:祖父が孫に800万円を拠出し、300万円を使った時点で祖父が死亡 残額500万円が孫の相続税の課税価格に加算され、孫の税額は2割増しになります。
50歳到達時の残額と使いにくさ
受贈者が50歳になった時点の残額は贈与税の対象です。2023年4月以後の贈与分は一般税率で計算します。
この制度は、都度贈与との差が小さいことから利用件数が少ないとされています。結婚費用や出産費用を親や祖父母が必要なときに直接負担する「都度の援助」は、社会通念上相当な範囲であればもともと非課税だからです。一括贈与を選ぶのは、贈与者が高齢で先にまとめて渡しておきたい、まとまった資金を確実に目的に縛りたい、といった事情がある場合に限られるでしょう。
適用期限は延長されることがあるため、契約を検討する際は最新の情報を確認してください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。