親が子に住宅資金や事業資金を「貸す」場合、形だけの貸付けだと税務署に贈与と判断されることがあります。贈与とされないための条件は、契約書・利息・返済実績の3つがそろっていることです。
なぜ貸付けが贈与とされるのか
税務署が見るのは「本当に返す約束と実態があるか」です。返済期限がない、返済が一度も行われていない、子の収入では到底返せない金額、といった場合は「ある時払いの催促なし」として、貸付けではなく贈与とみなされます。親の相続時に通帳の動きから判明し、過去の贈与として課税されるケースも少なくありません。
贈与とされないための3つの条件
1. 金銭消費貸借契約書を作る
次の項目を記載し、親子双方が署名押印します。
- 貸付金額と貸付日
- 返済期限と返済方法(毎月〇万円を〇年〇月まで)
- 利息の有無と利率
- 遅延時の取扱い
収入印紙も貼付します(1,000万円超5,000万円以下なら2万円)。契約書の日付と実際の送金日が一致していることも重要です。
2. 利息の考え方
親子間で無利息にしても、利息相当額の利益は本来贈与にあたります。ただし、その額が少額で課税上の弊害がないときは課税しない取扱いが一般的です。金額が大きい場合や長期の場合は、年0.5〜1%程度の利息を付けておくと安全です。親が受け取った利息は親の雑所得になります。
3. 返済の実績を残す
- 返済は必ず振込にし、現金手渡しを避ける
- 返済額は子の年収から無理なく払える範囲(住宅ローン並みの返済負担率が目安)
- 返済期間は親の年齢を考慮する(90歳まで返済が続く計画は不自然とみられる)
例:親が子に1,500万円を貸し、年1%・15年で返済 毎年の返済額は約108万円で、子の年収500万円なら無理のない範囲です。
途中で親が亡くなったら・返済を免除したら
親の死亡時に残っている貸付金は、親の相続財産(貸付金債権)として相続税の対象です。借りた子がその債権を相続すれば、債権と債務が混同で消滅します。生前に親が返済を免除すると、免除額はその年の贈与になります。年110万円の範囲で免除していくなら、免除のたびに書面を残してください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。