相続税の税務調査は、抜き打ちではなく原則として事前通知から始まります。申告から1〜2年後の夏から秋にかけて、税務署から電話がかかってくるのが一般的です。通知の内容は法律で決まっており、何を聞かれ、何を準備すればよいかを知っておけば落ち着いて対応できます。
事前通知で伝えられること
国税通則法では、実地調査の前に次の事項を通知することになっています。
- 調査を開始する日時と場所(通常は被相続人の自宅、または相続人の自宅)
- 調査の目的(相続税の申告内容の確認)と税目・対象期間
- 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
- 調査を担当する職員の氏名と所属
- 日時・場所は変更を申し出られること
税理士に申告を依頼し、税務代理権限証書に「納税者への通知は税理士に行う」旨の同意が記載されていれば、通知は税理士だけに届きます。相続人に直接電話が来た場合も、「税理士に連絡してほしい」と伝えて構いません。
日程は調整できる
通知で示される日程は希望を聞いたうえで決まります。相続人全員がそろう必要はなく、**被相続人の財産管理に詳しかった人(配偶者や同居の子)**が出席できる日を選びます。仕事や体調を理由に数週間ずらすことは一般的に認められています。調査は1日(午前10時〜午後4時ごろ)が基本で、財産が多い場合は2日になることがあります。
当日までに準備する資料
- 相続税申告書の控え一式(評価明細書・付表を含む)
- 被相続人名義の通帳・証書:解約済みのものも含め、少なくとも相続開始前5年分、できれば10年分
- 相続人(配偶者・子・孫)名義の通帳のうち、被相続人からの入金がある口座
- 不動産の登記事項証明書、固定資産税の課税明細書、賃貸借契約書
- 生命保険の証券・支払通知書、証券会社の取引残高報告書
- 被相続人の日記・手帳・メモ、印鑑(使っていたもの全部)、貸金庫の契約書と鍵
- 葬儀費用・医療費の領収書、香典帳
- 過去の贈与契約書と贈与税の申告書控え
事前に税理士と打ち合わせること
- 申告漏れの可能性がある財産がないか再確認する(調査通知後でも、調査官の指摘前に修正申告すれば加算税は軽減される)
- 生前の大きな出金の使途を整理しておく
- 当日の質問に「分からないことは分からない」と答える方針を共有する
準備した資料は、求められてから出せばよく、最初からすべてを机に並べる必要はありません。何を見せるかの判断は立会いの税理士に任せるのが安全です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。