古くからの土地では、登記簿の地積(面積)と実際に測った面積が一致しないことがよくあります。実測のほうが大きい状態を「縄伸び」、小さい状態を「縄縮み」と呼びます。相続税の評価と売却の両方に関わるため、違いが分かったときの扱いを整理します。
相続税評価は「実際の面積」が原則
財産評価のルールでは、土地の地積は課税時期における実際の面積によるとされています。つまり縄伸びが分かっている土地は、登記簿ではなく実測面積で評価するのが原則です。
例:路線価20万円、登記簿の地積300㎡、実測340㎡の土地(補正率は考慮しない) 登記簿で評価=20万円×300㎡=6,000万円 実測で評価=20万円×340㎡=6,800万円
実測面積が大きい土地を登記簿の面積で申告すると、過少申告の指摘を受けるおそれがあります。逆に縄縮みの土地は、実測面積で評価すれば評価額が下がります。
実測していない場合はどうするか
申告のために全ての土地を測量する義務はありません。実測図がなければ登記簿の地積で申告することが一般的に受け入れられていますが、公図と現況が明らかに異なる、隣地との間に広い空き地がある、といった場合は注意が必要です。確定測量には数十万円かかるため、評価額への影響(路線価×面積の差)と費用を比べて判断します。
なお、農地や山林などで倍率方式の場合は、固定資産税評価額に倍率を掛けるため、面積の差を直接反映させるのではなく、実測面積に応じて固定資産税評価額を按分して計算する扱いになります。
売却時の扱い
| 売買の方法 | 内容 |
|---|---|
| 公簿売買 | 登記簿の面積を前提に代金を決め、実測との差があっても精算しない |
| 実測売買 | 実測面積で代金を決める(または㎡単価で精算する) |
買主が住宅ローンを使う場合や分譲業者が買う場合は、確定測量と実測売買が求められるのが一般的です。縄伸びの土地は実測売買のほうが売主に有利になります。
地積更正登記
実測と登記簿の面積が違う場合、登記簿の地積を実測に合わせる「地積更正登記」ができます。分筆登記をするときは地積更正が前提になることが多く、隣地所有者の立会いによる境界確認が必要です。相続登記そのものは地積の違いがあっても登記簿どおりに行えるため、相続登記を先に済ませ、売却や分筆の段階で地積更正を行う流れが一般的です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。