「親が山を持っていたらしいが、どこにあるのか分からない」という相談は少なくありません。山林は固定資産税が少額で存在を忘れがちですが、相続すると届出義務があり、相続税の申告対象にもなります。この記事では、山林・原野を相続したときの手続きと評価、処分の選択肢をまとめます。
森林の土地の所有者届出
森林法により、2012年4月以降に売買や相続で森林の土地を取得した人は、取得した日から90日以内に、土地のある市町村に「森林の土地の所有者届出」を提出する必要があります。面積の下限はなく、小さな山林でも対象です。届出をしないと10万円以下の過料の対象になり得ます。
相続の場合、「取得した日」は相続開始日(亡くなった日)と考えるのが基本です。遺産分割が90日以内に終わらない場合は、相続人の共有として届け出て、分割後に改めて届け出る扱いになります。届出書には位置図・登記事項証明書などを添付しますが、分割協議中であることを記載して提出できる市町村もあるので、窓口に確認してください。
場所と境界が分からないとき
山林は公図と現地が一致しないことが多く、所在すら不明なこともあります。調べる手順は次のとおりです。
- 固定資産税の納税通知書・名寄帳で地番を確認する
- 法務局で登記事項証明書と公図を取得する
- 市町村の林務担当課で「林地台帳」や森林簿を閲覧する
- 地域の森林組合に心当たりを聞く
固定資産税が免税点(土地は同一市町村内で課税標準30万円)未満だと納税通知書に載らないため、市町村の名寄帳(固定資産課税台帳)を直接取得するのが確実です。
相続税評価
山林は「純山林」「中間山林」「市街地山林」に区分され、純山林・中間山林は固定資産税評価額に倍率を掛ける倍率方式、市街地山林は宅地としての評価から造成費を引く方式で評価します。原野も同様です。地方の純山林は評価額が数万円から数十万円程度にとどまることが多く、相続税全体に与える影響は限られますが、申告漏れにならないよう必ず載せます。
手放す選択肢
山林は買い手がほとんどいないのが実情です。相続土地国庫帰属制度では、森林は面積に応じて負担金が増える区分になっており、境界が不明な土地や崖がある土地は承認されません。隣接する山林の所有者や森林組合、地元の自治体への相談のほか、自治体によっては山林の寄附を受け付けることもあります。いずれも登記名義が相続人に移っていることが前提なので、相続登記(評価額100万円以下の土地は登録免許税が免税)は早めに済ませておきましょう。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。