自社株・事業用資産を後継者に集中させる遺産分割|遺留分と他の相続人への配慮

非上場株式や事業用不動産は後継者一人に集中させないと経営が不安定になりますが、他の相続人の遺留分を侵害するおそれがあります。遺言での集中、代償分割、生命保険による原資準備、経営承継円滑化法の除外合意、事業承継税制との組み合わせを解説します。

会社経営者の相続では、自社株と事業用の土地・建物が遺産の大半を占めることが珍しくありません。これを相続人で均等に分けると、株式が分散して経営が不安定になり、事業用資産が共有になって処分も担保設定もできなくなります。後継者に集中させる必要がある一方で、他の相続人の取り分と遺留分にどう配慮するかが課題です。

分散させてはいけない理由

株式が分散すると、株主総会での議決権が割れ、後継者が単独で重要な決定(定款変更、役員の選任など)をできなくなります。事業用不動産が共有になれば、売却や建替えに共有者全員の同意が必要です。

集中させる方法

方法 内容 注意点
遺言 「自社株と事業用不動産は長男に相続させる」と特定 他の相続人の遺留分を侵害すると金銭請求を受ける
代償分割 後継者が株式を取得し、他の相続人に代償金を払う 代償金の原資が必要。株式の評価額で額が大きく変わる
生前贈与+事業承継税制 生前に株式を贈与し、贈与税を猶予 特例措置は2027年12月末まで。要件が多い
遺留分の除外合意 経営承継円滑化法に基づき、推定相続人全員の合意と家庭裁判所の許可で自社株を遺留分の計算から除外 全員の合意が前提

実務では、遺言で後継者に集中させたうえで、他の相続人には預金・保険金・事業と無関係な不動産を渡し、遺留分を下回らないよう調整するのが基本形です。

計算例

遺産は自社株6,000万円、事業用土地3,000万円、預金1,000万円の合計1億円。相続人は長男(後継者)と長女。遺言で株式と土地を長男、預金を長女に渡すと、長女の取得は1,000万円で、遺留分は1億円×2分の1×2分の1=2,500万円。1,500万円の侵害になります。

対策として、長男を受取人とする生命保険1,500万円を準備すれば、長男は保険金で遺留分を支払えます。

相続税の観点

自社株の相続税評価額は、会社の業績や純資産で大きく変わります。遺留分の計算は時価ベースですが、株式の時価と相続税評価額が近いことも多く、まず評価額を把握しないと分け方の議論ができません。後継者が株式を取得する場合、事業承継税制の相続版(納税猶予)を使えば相続税の負担を大きく抑えられますが、申告期限内の手続きと、その後の継続要件があります。

生前から、株式評価、遺言、保険、税制の4つをセットで設計しておくことが、後継者と他の相続人の双方を守る道です。無料相談で自社株の評価と分け方の試算をお受けしています。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

ご自身のケースではどうなるか、無料相談で確認できます。

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