結論から書くと、遺留分は「遺留分を算定するための財産」に総体的遺留分(相続人が直系尊属だけなら1/3、それ以外は1/2)と各人の法定相続分を掛けた額で、養子は実子と同じ法定相続分を持ち、民法上は養子の人数に制限がありません。 婿養子・嫁養子は「子」として1人分、孫養子も「子」として1人分、親である子が先に亡くなっている孫養子は養子の分と代襲相続の分を合わせて持ちます。下の計算ツールに家族構成と財産を入れると、相続人ごとの遺留分の割合・金額と、遺言で侵害された額の目安がその場で出ます。
遺留分シミュレーション(計算ツール)
計算ツールは JavaScript が有効なブラウザで表示されます。表示されない場合は、下の「遺留分の計算の手順」で手計算できます。ご自身の家族構成での計算は無料相談でもお出しします。
ツールの「取得する額」は、遺言や遺産分割でその人が実際に受け取る額です。空欄なら0(何も渡さない遺言)として計算します。「特別受益」は相続開始前10年以内にその人が受けた贈与(住宅資金・開業資金など)です。金額は相続税評価額ではなく、売ればいくらかという時価で入れてください。遺留分の計算は民法の話なので、相続税の評価額とは別です。
遺留分の計算の手順
- 遺留分を算定するための財産を出す:相続開始時の財産+相続人以外への贈与(相続開始前1年以内)+相続人への贈与(特別受益。相続開始前10年以内)−債務(民法1043条・1044条)
- 総体的遺留分を掛ける:相続人が父母など直系尊属だけなら1/3、それ以外(配偶者や子がいる場合)は1/2(民法1042条)
- 各人の法定相続分を掛ける:配偶者と子なら配偶者1/2・子1/2を人数で割る。配偶者と父母なら2/3と1/3。配偶者と兄弟姉妹なら3/4と1/4ですが、兄弟姉妹には遺留分がありません
- 侵害額を出す:遺留分の額−その人の特別受益−相続で取得する額+法定相続分で負担する債務(民法1046条2項)。プラスなら、その額を金銭で請求できます(遺留分侵害額請求。知ってから1年・相続開始から10年で時効)
たとえば、財産8,000万円・債務なし、配偶者と子2人なら、配偶者の遺留分は8,000万円×1/2×1/2=2,000万円、子は8,000万円×1/2×1/4=1,000万円ずつです。詳しい考え方は遺留分とはと遺留分の基礎財産に入る生前贈与の期間をご覧ください。
養子がいると遺留分はどう変わるか
養子は縁組の日から実子と同じ相続分を持ちます(民法809条)。相続人が増えるぶん、1人あたりの遺留分は薄まります。
- 婿養子・嫁養子(子の配偶者):子が1人増えたのと同じです。実子1人と婿養子1人なら、配偶者1/2・実子1/4・婿養子1/4が法定相続分で、遺留分はその半分(1/4・1/8・1/8)。娘夫婦が両方とも相続人になるので、その世帯にまとめて渡しやすくなります
- 孫養子(親である子は存命):孫が「子」として1人分を持ちます。実子2人と孫養子1人なら、子の枠1/2を3人で分けて各1/6、遺留分は各1/12です。相続税では孫養子の税額が2割加算されます
- 孫養子(親である子が先に死亡):養子としての1人分に、亡くなった親の分を兄弟で分けた代襲相続分が加わります(二重資格)。実子1人と、亡くなった子の子が2人(うち1人が孫養子)なら、子の枠は実子・養子・亡くなった子の3人分。孫養子は1/3+1/3×1/2=1/2、実子1/3、もう1人の孫1/6です
- 兄弟姉妹:遺留分がありません。子も父母もいない方が配偶者に全部渡す遺言を書けば、そのとおりになります
節税目的の養子縁組も、縁組の意思があれば有効とした最高裁平成29年1月31日判決があります。ただし相続税の基礎控除や生命保険の非課税枠で数えられる養子は、実子がいれば1人、いなければ2人までです(養子縁組と節税)。ツールは民法の遺留分と、相続税で数えられる養子の数の両方を表示します。
まとめ
遺留分は「基礎財産×総体的遺留分×法定相続分」で決まり、養子は実子と同じ1人分を持ち、代襲を兼ねる孫養子は二重に持ちます。遺言で特定の人に多く渡すときは、他の相続人の侵害額がいくらになるかを先に計算し、遺留分に相当する財産か金銭を渡す形にしておけば、相続後の請求を避けられます。侵害額の請求を受けたとき・する側の手続きは遺留分侵害額請求の流れにまとめています。相続税の目安は相続税シミュレーションで確かめてください。相続税申告相談センター(大阪・南森町)は基本報酬99,000円(税込・遺産総額4,000万円まで)〜、遺産分割協議書の作成は55,000円(税込)、初回相談は無料です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。