包括遺贈を受けたら相続税の申告はどうなる?債務の負担と遺産分割への参加

遺産の全部または一定割合を受け取る包括遺贈の受遺者は、相続人と同じ権利義務を持ち、債務も割合に応じて負担します。相続税では債務控除を受けられる一方、相続人でなければ2割加算の対象となり、放棄は3か月以内に家庭裁判所で行う必要があります。

「遺産の3分の1を甥に遺贈する」「全財産を内縁の妻に遺贈する」のように、財産を特定せず割合や全部で渡す遺贈を「包括遺贈」といいます。特定の財産を渡す特定遺贈とは異なり、包括遺贈を受けた人(包括受遺者)は相続人と同じ権利義務を持ちます。プラスの財産だけでなく、借入金などの債務も割合に応じて引き継ぐのが最大の特徴です。

包括受遺者の立場

包括受遺者は、相続人と同様に次の扱いを受けます。

  • 遺産分割協議に参加する(割合で遺贈された場合、具体的にどの財産を取るかは相続人との協議で決める)
  • 債務を遺贈の割合に応じて負担する
  • 放棄する場合は、遺贈を知ってから3か月以内に家庭裁判所に申述する(特定遺贈のように相手方への意思表示だけでは放棄できない)

例えば遺産が預金6,000万円と借入金1,500万円で、3分の1を包括遺贈された場合、受遺者は預金2,000万円を取得する一方、借入金500万円も負担します。債権者との関係では、相続人が払うか受遺者が払うかを内部で決めても対抗できないため、免責的債務引受には債権者の同意が必要です。

相続税の申告

包括受遺者は、取得した財産について相続人と同じく相続税の申告義務を負います。

項目 包括受遺者の扱い
債務控除 負担した債務・葬式費用を差し引ける
基礎控除の人数 相続人でなければ法定相続人の数に含まれない
2割加算 配偶者・一親等の血族以外なら対象
生命保険の非課税枠 相続人でなければ使えない

特定遺贈の受遺者(相続人以外)は債務控除を受けられないのに対し、包括受遺者は受けられる点が大きな違いです。甥や内縁の妻への包括遺贈では、2割加算で税額が1.2倍になる点を踏まえて、遺言作成時に税額を試算しておく必要があります。

計算例

相続人は子1人、包括受遺者は甥(3分の1)、遺産は預金6,000万円、借入金1,500万円とします。

  1. 課税価格の合計:6,000万円−1,500万円=4,500万円
  2. 基礎控除:3,000万円+600万円×1人=3,600万円
  3. 課税遺産総額:4,500万円−3,600万円=900万円
  4. 相続税の総額:900万円×10%=90万円(法定相続人は子1人)
  5. 甥の税額:90万円×3分の1=30万円 → 2割加算で36万円

包括遺贈は、遺言を書く側にとって「相続人と同じように扱いたい」気持ちを形にできる方法ですが、受け取る側には債務の負担と手続きの重さが伴います。遺言で包括遺贈を検討するときは、受遺者に事前に説明しておくことをおすすめします。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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