公正証書遺言は、公証人が遺言者の口述をもとに作成し、原本を公証役場が保管する遺言です。形式の不備で無効になるおそれがほぼなく、家庭裁判所の検認も不要なため、相続人の負担が最も軽い方式といえます。ここでは、作成の手順と費用の考え方を具体的に説明します。
作成の流れ
- 財産と分け方を整理する:不動産の登記事項証明書、預金の金融機関名と口座、株式の銘柄などを一覧にします。
- 原案を作る:誰に何を相続させるか、遺言執行者を誰にするか、予備的な定めや付言事項を決めます。税理士や弁護士に相談して原案を作る人が多いです。
- 公証役場に連絡し、必要書類を送る:公証人が原案を法律的に整えて文案を作ります。やり取りは数回に及ぶこともあります。
- 証人2人を確保する:推定相続人やその配偶者・直系血族、未成年者は証人になれません。知人に頼みにくければ、公証役場で紹介を受けることもできます。
- 作成当日:遺言者と証人2人が公証役場に行き、公証人が内容を読み聞かせ、全員が署名・押印します。遺言者が入院中などで出向けない場合は、公証人に出張してもらえます。
必要書類の例
- 遺言者の印鑑証明書(3か月以内)と実印
- 遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本
- 相続人以外に遺贈する場合は、その人の住民票
- 不動産の登記事項証明書と固定資産評価証明書
- 預貯金・株式の資料(金融機関名、口座番号など)
- 証人の氏名・住所・生年月日・職業のメモ
費用の目安
公証人の手数料は、財産を受け取る人ごとに、その人が受け取る財産の価額に応じて算定し、合計します。受け取る財産の価額が高いほど、また受け取る人数が多いほど手数料は増えます。目安として、相続人2人に数千万円程度の財産を分ける一般的な遺言では、合計で数万円から10万円前後に収まることが多いようです。財産総額が1億円以下の場合は一定額が加算される仕組みや、出張の場合の加算・日当もあるため、正確な額は公証役場に見積もりを依頼してください。手数料の体系は改定されることがあるので、最新の情報を確認することをおすすめします。
このほか、戸籍や登記事項証明書の取得費用、専門家に原案作成を依頼した場合の報酬がかかります。
税理士が原案に関わるメリット
遺言の内容は、相続税の額を左右します。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使える分け方か、遺留分を侵害していないか、納税資金が確保できる分け方かを事前に検証してから公証役場に持ち込むと、作成後の手戻りがありません。無料相談では遺言作成の前段階の税額試算にも対応しています。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。