父の相続(一次相続)から10年以内に母が亡くなった場合(二次相続)、母が一次相続で納めた相続税の一部を二次相続の税額から差し引く相次相続控除が使えます。ところが、控除額の計算には一次相続の申告書の数字が必要で、「申告書の控えが見つからない」という相談は少なくありません。
計算に必要な数字
相次相続控除の額は、次の式で計算します(相続人ごと)。
控除額 = A × C ÷(B - A)× D ÷ C ×(10 - E)÷ 10
- A:母が一次相続で納めた相続税額
- B:母が一次相続で取得した財産の価額(債務控除後)
- C:二次相続の財産の価額の合計(債務控除後)
- D:その相続人が二次相続で取得した財産の価額
- E:一次相続から二次相続までの年数(1年未満切捨て)
このうちAとBが一次相続の申告書(第1表)の数字です。たとえばA=300万円、B=6,000万円、C=8,000万円、D=4,000万円、E=3年なら、300万円×8,000万円÷5,700万円(C÷(B−A)は1が上限なので1)×4,000万円÷8,000万円×0.7=105万円が控除額です。
申告書が見つからないときの探し方
- 一次相続を依頼した税理士事務所に問い合わせる(控えを保管していることが多い)
- 母の自宅の書類、金融機関の貸金庫を探す。納付書の領収証書だけでも税額(A)は分かる
- 母の通帳で、一次相続の申告期限前後の相続税の納付記録を確認する
- それでも分からなければ、税務署で申告書の閲覧申請をする。母の相続人であることを戸籍で示せば、母が提出した一次相続の申告書を閲覧できる。第1表の「納付すべき税額」と「取得財産の価額」「債務控除」の欄を写真に撮る
注意したい点
- 一次相続で母が配偶者の税額軽減を使って納税額がゼロだった場合、相次相続控除はありません(Aがゼロのため)
- 一次相続の申告書がなく、母が納税していたかどうかも不明なときは、税務署での閲覧が確実です
- 税務署に申告書が保存されていない古い相続は10年を超えていることが多く、その場合はそもそも控除の対象外です
- 二次相続の申告書には第7表を使い、一次相続の申告書の写し(または数字が分かる資料)を添付します
申告書がなくても諦めない
相次相続控除は「税務署が自動で適用してくれる控除」ではなく、申告書の第7表に記載して初めて適用されます。一次相続の資料がないからと記載を省くと、数十万円から数百万円の控除を失うこともあります。閲覧申請は手間がかかりますが、その価値は十分にあります。無料相談では、一次相続の資料が乏しい場合の進め方もご案内しています。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。