税務調査で申告漏れが見つかり、相続人全員で修正申告をすることになったとき、「追加の税金と加算税は誰が払うのか」で揉めることがあります。税務署は相続人ごとに税額を計算して請求しますが、相続人の間でどう負担するかは、別途話し合いで決めることになります。考え方と精算の方法を整理します。
税務署への納付は相続人ごと
修正申告による追加税額は、相続人ごとに次のように計算されます。
- 申告漏れの財産を取得した人:課税価格が増え、税額が大きく増える
- 他の相続人:総額の増加と按分割合の変化で、税額が増えることも減ることもある
- 加算税(過少申告加算税10%・15%、重加算税35%):各相続人の追加税額に対して個別に計算。重加算税は仮装・隠ぺいをした人の分だけ
- 延滞税:各相続人の追加税額について、申告期限の翌日から納付日までの期間で計算(1年経過後の除算あり)
たとえば長男が管理していた名義預金2,000万円が漏れていた場合、長男の追加税額が大きく、長女は少額の増減で済むのが通常です。
相続人間の負担をどう決めるか
申告漏れの財産が「被相続人の財産」である以上、本来は相続人全員で分け方を決める財産です。整理の手順は次のとおりです。
- 漏れていた財産を誰が取得するか、改めて協議する(管理していた人が当然に取得するわけではない)
- その分け方に基づいて修正申告書を作り、各人の追加税額を確定する
- 加算税と延滞税は、原則として原因を作った人が負担する考え方と、取得割合に応じて負担する考え方がある。重加算税は行為者が負担するのが公平
- 合意内容を書面(追加の遺産分割協議書や精算の覚書)に残す
他の相続人が取得割合に応じて負担する合意をした場合、その精算は相続人間の金銭の受け渡しになるため、贈与と見られないよう覚書と振込記録を残してください。
税理士報酬と調査対応の費用
調査の立会いや修正申告書の作成の報酬は、相続人の誰かが契約して支払います。これも相続税の債務控除や必要経費にはならないため、相続人間で分担する場合は合意のうえで精算します。
事前に決めておくと揉めない
当初の遺産分割協議書に「申告漏れの財産が見つかった場合の取得者」と「追加の税負担の分担方法」を定めておけば、調査後の協議が不要になります。相続人間の関係が良好なうちに取り決めておくことが、最も効果的な備えです。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。