親が貸していたテナントビルや月極駐車場を相続すると、家賃に消費税が含まれていることがあります。消費税の納税義務は売上高で決まるため、「相続した年から自分も消費税を納めるのか」「親のインボイス登録番号はそのまま使えるのか」が問題になります。この記事では相続と消費税の関係を整理します。
家賃の種類で課税・非課税が分かれる
| 収入の種類 | 消費税 |
|---|---|
| 住宅の家賃(居住用) | 非課税 |
| 店舗・事務所・倉庫の家賃 | 課税 |
| 月極駐車場・コインパーキング | 課税(住宅に付随する駐車場は非課税の場合あり) |
| 礼金・更新料(住宅) | 非課税 |
住宅のアパートだけなら課税売上はなく、消費税の問題は基本的に生じません。店舗や駐車場の収入があると、その金額が納税義務の判定に関わります。
相続があった年の納税義務の判定
通常は、前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になります。相続で事業を引き継いだ場合は特例があり、相続人自身の基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、被相続人の基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていれば、相続があった日の翌日からその年の末日までは課税事業者になります。翌年・翌々年は、相続人と被相続人の基準期間の課税売上高を合計して判定します。
例:被相続人の前々年の課税売上高(店舗家賃)が1,400万円、相続人は給与所得者で課税売上なし →相続の日の翌日から相続人は課税事業者となり、その期間の店舗家賃について消費税の申告が必要
遺産分割が決まっていない期間は、法定相続分で被相続人の課税売上高を按分して判定します。
インボイス登録は引き継げない
被相続人がインボイス(適格請求書発行事業者)の登録をしていても、登録番号は相続人に引き継がれません。相続人が自分で登録申請をする必要があります。相続人が登録を受けるまでの間は、相続の日の翌日から4か月を経過する日(それまでに登録を受ければその日の前日)まで、被相続人の登録番号を相続人の番号とみなす「みなし登録期間」があります。テナントが課税事業者で仕入税額控除を必要とする場合、登録が途切れると家賃の減額を求められることがあるため、相続後早期に申請してください。
届出と実務
課税事業者になる場合は「相続があったことにより課税事業者となる場合の付表」などの届出を税務署に提出します。被相続人が簡易課税を選択していた場合も、相続人には引き継がれないため改めて選択届出が必要です。課税売上と非課税売上の両方がある物件では、修繕費などの仕入税額控除の計算も複雑になるため、相続税の申告と合わせて消費税の見通しを無料相談で確認することをおすすめします。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。