相続登記は「誰がどの根拠で取得したか」によって、申請できる人と必要書類が変わります。遺言があれば取得者が一人で申請できることが多く、遺産分割協議なら協議書と全員の印鑑証明書が必要です。この記事では3つの経路の違いを整理します。
3つの経路の比較
| 取得の根拠 | 申請者 | 主な添付書類 |
|---|---|---|
| 遺言「〜に相続させる」 | 取得する相続人が単独で申請 | 遺言書、被相続人の死亡の戸籍、取得者の戸籍・住民票 |
| 遺言「〜に遺贈する」 | 原則は受遺者と遺言執行者(または相続人全員)の共同申請。受遺者が相続人なら単独申請可 | 遺言書、執行者の選任資料など |
| 遺産分割協議 | 取得する相続人が単独で申請 | 協議書、相続人全員の印鑑証明書、出生から死亡までの戸籍 |
「相続させる」遺言(特定財産承継遺言)は、遺言の効力発生と同時にその相続人が取得したものと扱われるため、他の相続人の協力なしに登記できます。遺贈も、2023年4月の不動産登記法の改正で、受遺者が相続人である場合は単独申請が認められました。
登録免許税の違い
相続と相続人への遺贈は、いずれも固定資産税評価額の0.4%です。相続人以外への遺贈は2%になるため、孫や内縁の配偶者などに不動産を渡す遺言を作るときは、登録免許税と不動産取得税(相続人以外の遺贈は課税)が重くなる点を事前に説明しておく必要があります。
遺言があっても協議で登記できる?
遺言と違う内容で相続人全員が合意すれば、遺産分割協議による登記も可能です(受遺者や遺言執行者の同意が必要な場合があります)。ただし、遺言で取得した相続人が自分の取得分を他の相続人に譲る形になると、贈与と見られないよう協議の経緯を書面に残しておくことが重要です。
実務上の対応
遺言で不動産の承継先が決まっていれば、戸籍の収集範囲が狭くて済み、登記は短期間で完了します。相続税申告でも、遺言で取得者が確定していると小規模宅地等の特例の判定が早くでき、申告期限(10か月)に余裕が生まれます。逆に協議が長引くと、登記も申告も未確定のまま期限を迎えやすいので、取得者の候補が決まっている不動産から順に協議書をまとめる進め方をおすすめします。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。