iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入していた方が亡くなると、積み立てた資産は死亡一時金として遺族に支払われます。自動的に振り込まれるものではなく遺族の請求が必要で、請求の時期によって税金の種類が変わるという特徴があります。
受取人の順位
受取人は、加入者が生前に運営管理機関へ届け出た人が最優先です。届出がない場合は確定拠出年金法で順位が決まっています。
- 配偶者(内縁を含む)
- 加入者の収入で生計を維持していた子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹
- 生計を維持していたその他の親族
- 上記以外の子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹
この順位で決まる受取人の固有の権利なので、原則として遺産分割の対象にはなりません。受取人の指定ができるのは配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹に限られ、指定しておくと手続きが早く進みます。
請求の時期で税金が変わる
| 請求(支給確定)の時期 | 税金の扱い |
|---|---|
| 死亡後3年以内 | 相続税(死亡退職金と同じ「退職手当金等」)。非課税枠500万円×法定相続人の数 |
| 死亡後3年超5年以内 | 受取人の一時所得(所得税) |
| 死亡後5年を過ぎても請求なし | 受取人がいないものとして扱われ、相続財産として相続人に支払われる(非課税枠なし) |
もっとも有利なのは3年以内の請求です。たとえば法定相続人が3人で、死亡一時金800万円と会社からの死亡退職金500万円なら、合計1,300万円は非課税枠1,500万円の範囲内で課税されません。
3年を超えると一時所得になり、(受取額-特別控除50万円)×1/2が課税対象です。5年を過ぎると相続財産として扱われ、非課税枠も使えず、本来の相続財産と同じ課税になります。
手続きの流れと注意点
- iDeCoは運営管理機関(加入していた金融機関)、企業型DCは勤務先または運営管理機関に連絡し、死亡一時金裁定請求書を提出します
- 加入者が60歳以降で年金受取中に亡くなった場合は、残りの資産が死亡一時金になります
- 退職後に手続きをせず「自動移換」されたままの資産も対象なので、国民年金基金連合会から届く通知を確認してください
- iDeCoの資産は本人以外には見えにくいため、掛金の引落しや年末調整の控除証明書で加入の有無を確認します
相続税の申告期限は10か月ですが、死亡一時金の請求の期限はそれより長いため、請求を忘れたまま3年が過ぎるケースがあります。相続財産の洗い出しの初期段階で必ず確認しておきましょう。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。