会社員や役員が在職中に亡くなると、最後の給与や賞与が遺族に支払われます。このお金は「給与所得」なのか「相続財産」なのかで、所得税と相続税の扱いが変わります。分かれ目は支給日が死亡の前か後かです。会社側の手続きと、遺族が受け取る書類を整理します。
支給日が死亡後なら相続財産
| 区分 | 所得税 | 相続税 |
|---|---|---|
| 死亡前に支給日が到来し、未払いだった給与・賞与 | 被相続人の給与所得(準確定申告) | 未収金として相続財産 |
| 死亡後に支給日が到来する給与・賞与 | 課税なし(源泉徴収なし) | 相続財産(本来の相続財産) |
| 死亡退職金 | 課税なし | みなし相続財産(非課税枠あり) |
たとえば月末締め翌月25日払いの会社で、10月10日に死亡した場合、9月分の給与(10月25日支給)は死亡後の支給なので相続財産です。10月1日〜10日分の日割り給与も同じく相続財産です。これらに対しては会社は源泉徴収を行わず、支給額がそのまま遺族に渡ります。
一方、死亡前の支給日に支払われていなかった給与があれば、それは給与所得として源泉徴収の対象になり、準確定申告に含めます。同時に未収金として相続財産にもなります。
会社が行う年末調整
会社は、死亡退職の時点でその年の1月1日から死亡日までに支給した給与について年末調整を行います。通常の12月の年末調整を待たず、死亡退職時に行うのが決まりです。死亡後に支給する給与は年末調整の対象に含めません。
年末調整の結果、源泉徴収され過ぎていた税額は遺族に還付され、この還付金も相続財産になります。年末調整で精算しきれない控除(医療費控除・寄附金控除など)がある場合は、相続人が4か月以内に準確定申告を行って還付を受けます。
遺族が受け取る書類と相続税申告
会社からは次の書類を受け取り、相続税の申告資料として保管します。
- 死亡退職に伴う給与所得の源泉徴収票(支払金額は死亡日までの給与)
- 退職所得の源泉徴収票(死亡退職金がある場合は原則不要だが、会社によって発行される)
- 最終給与・賞与の支給明細(死亡後支給分が分かるもの)
- 弔慰金の支給内容(業務上の死亡は給与の3年分、それ以外は半年分まで非課税の目安)
死亡退職金は500万円×法定相続人の数の非課税枠があるのに対し、死亡後に支給される給与・賞与には非課税枠がありません。会社の規程で「賞与」として支給されるか「退職金」に含めて支給されるかで税額が変わるため、支給の名目を会社に確認してください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。