低解約返戻金型の終身保険は、保険料の払込期間中は解約返戻金が通常の商品より低く抑えられ、払込が終わると大きく増える仕組みです。この特徴を使い、解約返戻金が低い時期に契約者を変えて評価を下げる方法が対策として語られることがあります。仕組みと、その後の課税を正しく知っておく必要があります。
評価が下がる仕組み
生命保険契約に関する権利は、相続・贈与の時点の解約返戻金相当額で評価します。低解約返戻金型では、払込期間中の解約返戻金が払込保険料の7割程度に抑えられている商品が多く、たとえば払込保険料の累計が1,000万円でも、その時点の解約返戻金が700万円なら、評価額は700万円です。
払込期間が終わると解約返戻金は払込保険料と同程度かそれ以上に回復するため、払込期間中に契約者を子に変更(贈与)しておけば、贈与税の評価は700万円、その後の増加分は子のものになる、という考え方です。
名義変更後の課税
契約者の変更時点では、受け取る側に贈与税(相続による変更なら相続税)がかかります。贈与なら700万円から基礎控除110万円を引いた590万円に贈与税がかかるため、ある程度の税負担は避けられません。相続時精算課税を選べば2,500万円まで贈与時の税はかかりませんが、相続時に700万円が加算されます。
名義変更後に子が解約または満期金を受け取ると、子の一時所得です。
一時所得 =(受取額 - 払込保険料の総額 - 特別控除50万円)× 1/2
必要経費となる払込保険料には、名義変更前に親が払った分も含めることができます。たとえば受取額1,100万円、親と子の払込合計1,050万円なら、一時所得は(1,100万円-1,050万円-50万円)×1/2=0円です。
注意点とリスク
- 法人契約の名義変更については、2021年に所得税の取扱いが改正され、法人から役員へ低解約返戻金型の契約を移す場合の評価は解約返戻金ではなく資産計上額などで行う扱いになりました。個人間の贈与とは別の論点ですが、同じ手法として紹介されていることがあるので混同しないでください
- 評価の方法は税制改正で見直される可能性があり、効果を前提に大きな契約をするのはリスクがあります
- 保険料を払うのが親のままで契約者だけ子にすると、名義保険として親の相続財産とされます。変更後の保険料は必ず子が負担します
この手法は「評価減」だけを見て判断せず、贈与税・一時所得・保険料負担を合わせた総額で比較することが大切です。実行前に無料相談で試算することをおすすめします。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。