がけ地補正と土砂災害特別警戒区域の補正|斜面を含む土地の相続税評価

敷地の一部が崖や急斜面になっている土地はがけ地補正率で、土砂災害特別警戒区域に入っている土地は専用の補正率で評価を下げられます。がけ地の割合と方位による違い、両方に該当する場合の計算例と下限0.50を解説します。

住宅地でも、裏が崖になっていたり、敷地の一部が急斜面で使えなかったりする土地は少なくありません。こうした土地は、相続税評価で「がけ地補正率」を使って減額できます。さらに、土砂災害防止法で「特別警戒区域」に指定されている土地には、別の補正率も用意されています。どちらも見落とされやすい論点です。

がけ地補正率の仕組み

がけ地補正率は、次の2つで決まります。

  1. がけ地の割合:がけ地部分の地積 ÷ 土地全体の地積
  2. がけ地の方位:斜面が南・東・西・北のどちらを向いているか

南向きの斜面は日当たりがよいため減額が小さく、北向きは減額が大きくなります。割合が10%程度から補正が始まり、割合が大きくなるほど補正率は0.9台から0.5台まで下がります。具体的な値は国税庁の付表で確認してください。

ここでいう「がけ地」とは、通常の用途に使えない急傾斜の部分です。緩やかな傾斜で庭として使えている部分は含まれません。がけ地の割合は、測量図や現地の状況から判断します。

土砂災害特別警戒区域の補正率

土砂災害特別警戒区域(いわゆるレッドゾーン)に指定されている土地は、建物の構造に規制がかかるなど利用が制限されます。2019年分以降の評価から、特別警戒区域に含まれる地積の割合に応じて0.9・0.8・0.7といった段階的な補正率が設けられています。警戒区域(イエローゾーン)だけでは対象になりません。

区域の指定は、都道府県のハザードマップや指定図で確認できます。土地の一部だけが区域内なら、その部分の地積割合で判定します。

両方に該当する場合の計算例

南向きのがけ地が全体の30%を占め、かつ特別警戒区域に全体の50%が含まれる土地(路線価10万円/㎡、奥行価格補正率1.00、地積300㎡)を考えます。

  • がけ地補正率:付表で南向き・30%を確認(仮に0.9とします)
  • 特別警戒区域の補正率:地積割合50%で該当する値(仮に0.8とします)
  • 1㎡当たり:10万円 × 1.00 × 0.9 × 0.8 = 7万2,000円
  • 評価額:7万2,000円 × 300㎡ = 2,160万円

両方に該当する場合は補正率を掛け合わせますが、その積は0.50が下限とされています。

注意点

路線価そのものに崖の影響が織り込まれている場合(崖沿いの道路の路線価が低く設定されているなど)は、二重の減額にならないよう検討が必要です。また、擁壁で整備されて平らに使えている土地は、がけ地とは認められないのが一般的です。図面と現地写真を揃えたうえで判断してください。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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