配偶者居住権の評価計算の具体例|建物・敷地を居住権と所有権に分ける計算手順

配偶者居住権は、建物の固定資産税評価額と残存耐用年数、配偶者の平均余命、法定利率の複利現価率から計算します。木造築15年の自宅で75歳の妻が取得する場合を例に、居住建物・敷地の所有権部分と居住権部分の分け方を途中式付きで解説します。

配偶者居住権を設定すると、自宅の建物と敷地は「配偶者居住権(配偶者が取得)」と「居住建物・敷地の所有権(子などが取得)」に分かれ、それぞれを別々に評価します。ここでは計算の手順を具体例で追います。

計算に必要な数値

  1. 建物の固定資産税評価額
  2. 残存耐用年数:建物の法定耐用年数 × 1.5 − 築年数(木造住宅なら22年 × 1.5 = 33年が基準)
  3. 存続年数:終身の場合は配偶者の平均余命(厚生労働省の生命表による。相続開始時の年齢・性別で決まる)。期間を定めた場合はその年数
  4. 複利現価率:法定利率(2026年時点で年3%)による、存続年数に応じた率
  5. 敷地(土地)の相続税評価額

計算式

建物の所有権部分(配偶者以外が取得)

固定資産税評価額 × (残存耐用年数 − 存続年数)÷ 残存耐用年数 × 複利現価率

配偶者居住権 = 建物の固定資産税評価額 − 建物の所有権部分

敷地の所有権部分 = 土地の相続税評価額 × 複利現価率

敷地利用権(配偶者居住権に基づく) = 土地の相続税評価額 − 敷地の所有権部分

残存耐用年数が存続年数以下の場合(古い建物で配偶者が若い場合など)は、建物の所有権部分はゼロとなり、建物の全額が配偶者居住権になります。

具体例

木造の自宅(築15年、固定資産税評価額1,000万円)、敷地の相続税評価額3,000万円、75歳の妻が終身の配偶者居住権を取得し、長男が所有権を取得する場合。妻の平均余命を仮に16年、16年の複利現価率(3%)を0.623とします。

  1. 残存耐用年数:22年 × 1.5 − 15年 = 33年 − 15年 = 18年
  2. 建物の所有権部分:1,000万円 × (18 − 16)÷ 18 × 0.623 = 1,000万円 × 0.111 × 0.623 = 約69万円
  3. 配偶者居住権:1,000万円 − 69万円 = 931万円
  4. 敷地の所有権部分:3,000万円 × 0.623 = 1,869万円
  5. 敷地利用権:3,000万円 − 1,869万円 = 1,131万円
取得者 財産 評価額
妻 配偶者居住権 + 敷地利用権 931万円 + 1,131万円 = 2,062万円
長男 建物の所有権 + 敷地の所有権 69万円 + 1,869万円 = 1,938万円

注意点

配偶者の年齢が若いほど存続年数が長くなり、配偶者居住権の割合が大きくなります。小規模宅地等の特例は、妻の敷地利用権と長男の敷地所有権のそれぞれに、要件を満たせば適用できます。妻の死亡で配偶者居住権は消滅し課税されないため、二次相続まで含めた検討が重要です。平均余命と複利現価率は毎年の公表値で確認してください。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

ご自身のケースではどうなるか、無料相談で確認できます。

初回相談は無料。ご契約まで費用はかかりません。相続税額の目安はシミュレーションでもその場で確認できます。

無料相談を予約する相続税シミュレーション

他の記事

← 記事一覧へ

電話で相談無料相談を予約