著作権・肖像権・SNSアカウントの相続|デジタル遺品で財産になるもの・ならないもの

著作権は財産権として相続され、相続税では印税収入をもとに評価します。肖像権などの人格権は相続されず、SNSアカウントは規約により追悼や削除の扱いになるのが一般的です。デジタル遺品の整理と申告の考え方を解説します。

作家・音楽家・イラストレーター・ユーチューバーなど、創作で収入を得ていた方の相続では、形のない権利が財産になります。一方で、SNSのアカウントや写真データのように、相続財産ではないが遺族が扱いに困るものもあります。相続税の観点で「評価が必要なもの」と「手続きだけ必要なもの」を分けて整理します。

著作権は相続財産として評価する

著作権は財産権であり、著作者の死後70年まで保護されます。相続人は印税や使用料を受け取る権利を引き継ぐため、相続税の課税対象です。財産評価基本通達では、おおむね次の式で評価します。

評価額 = 年平均印税収入 × 0.5 × 評価倍率

年平均印税収入は、相続開始前3年間の印税収入の平均です。評価倍率は、今後印税収入が見込まれる期間に応じた複利年金現価率(基準年利率による)を使います。

例:3年平均の印税収入 200万円、収入が見込まれる期間 10年、複利年金現価率 9.5(仮) 200万円 × 0.5 × 9.5 = 950万円

収入の見込み期間は、作品の性質や出版社の意見などをもとに判断します。相続開始前にほとんど収入がなければ、評価額は小さくなります。なお、著作者人格権(公表権・氏名表示権など)は本人限りで相続されませんが、遺族が侵害行為に対して差止めなどを請求できる規定があります。

肖像権・パブリシティ権は原則相続されない

肖像権は人格権で、本人の死亡により消滅するのが原則です。芸能人などの氏名や肖像が持つ経済的価値(パブリシティ権)が相続されるかは、法律に明文がなく議論があります。相続税の実務でも、契約で使用料が確定しているものを除き、評価の対象にすることは一般的ではありません。

SNSアカウント・写真・メールの扱い

SNSやメールのアカウントは、規約上、本人だけに利用が許された契約上の地位で、相続財産として評価するものではありません。各サービスには次のような対応があります。

  • 追悼アカウントへの移行(遺族の申請で凍結し、投稿を残す)
  • 遺族の申請による削除
  • 本人が生前に「死後の管理者」や「アカウント無効化」を設定しておく機能

遺族がログインして操作することは規約違反になる場合があるため、各サービスの手順に沿って申請するのが安全です。アカウントから広告収入などの収益が発生している場合は、未収の収益が財産に当たらないか確認が必要です。

実務の進め方

  1. 契約書・振込履歴から、著作権使用料や広告収入の有無を確認する
  2. 収入があれば過去3年分の金額を集計し、評価する
  3. アカウントは規約に従って追悼または削除を申請し、必要なデータは事前に保存する

創作活動をしている方は、作品のリストと契約先、アカウントの処理方針をエンディングノートに書いておくと、遺族の負担を減らせます。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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