配偶者も子もなく、親や兄弟姉妹も既にいない。そんな「おひとりさま」の財産は、何も準備しなければ最終的に国のものになります。遺言で渡したい相手を決めておけば、友人や世話になった人、支援したい団体に財産を託せます。ただし、相続人以外が財産を受け取る場合には相続税の計算に特有のルールがあります。準備の順番と税の考え方を整理します。
準備しないとどうなるか
相続人がいない場合、家庭裁判所が相続財産清算人を選び、債権者への支払いの後、生前に世話をした人などの特別縁故者が申し立てれば財産の分与を受けられることがあります。それでも残った財産は国庫に帰属します。手続きには1年以上かかり、葬儀や遺品整理を誰が行うかも決まっていません。
準備の3点セット
- 死後事務委任契約:葬儀・火葬・納骨、役所への届出、住居の明け渡し、各種契約の解約などを、信頼できる人や法人に委任する契約。公正証書で作るのが一般的で、費用の預託が必要
- 遺言:財産の行き先を指定し、遺言執行者を定める。公正証書遺言なら検認が不要で、執行者がすぐに手続きできる
- 任意後見契約:判断能力が衰えたときに備え、生前の財産管理を任せる契約
この3つに加えて、エンディングノートで預金口座や契約の一覧、希望する葬儀の形を書き残しておくと、受任者の負担が減ります。
相続人以外が受け取るときの相続税
遺言で友人や甥姪に財産を遺贈すると、受け取った人に相続税がかかります。相続人がいない場合の計算には次の特徴があります。
- 基礎控除は法定相続人がいないため 3,000万円のみ
- 税額は、法定相続人がいない場合、遺産全体を1人が取得したものとして税率を当てはめる
- 配偶者・一親等の血族以外が受け取るため、税額は 2割加算
例:遺産 5,000万円を友人1人に遺贈 課税遺産総額 = 5,000万円 − 3,000万円 = 2,000万円 税額 = 2,000万円 × 15% − 50万円 = 250万円 2割加算後 = 250万円 × 1.2 = 300万円
受け取る人がこの税負担を自分の財産から払えるかどうかも、遺言を作る際に考慮します。
寄附という選択肢
国・地方公共団体や一定の公益法人に遺贈すれば、受け取る側に相続税はかかりません。自治体や公益法人の多くは遺贈寄付の窓口を設けています。不動産の寄附は受け入れてもらえないことが多いため、「換価して寄附する」よう遺言に定め、遺言執行者に売却を委ねる形が実務的です。
おひとりさまの終活は、法律・税務・生活の手配が絡み合います。財産の規模に応じた方針を無料相談で一緒に整理しましょう。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。