「自分が死んだらこの家をあげる」と約束して財産を渡す方法には、遺言で渡す「遺贈」と、生前に契約しておく「死因贈与」があります。どちらも効力が生じるのは死亡時で、相続税の対象になる点は同じですが、不動産にかかる他の税金に差が出ます。この記事では両者の違いを比較します。
法律上の違い
| 項目 | 遺贈 | 死因贈与 |
|---|---|---|
| 成立 | 遺言者の一方的な意思表示 | 贈与者と受贈者の契約 |
| 形式 | 遺言の方式(自筆・公正証書など)が必要 | 口頭でも成立するが書面が実務上必須 |
| 撤回 | いつでも可能 | 原則可能だが、受贈者が負担を履行した場合は制限される |
| 受け取る側の放棄 | 可能(特定遺贈はいつでも、包括遺贈は3か月以内) | 契約なので一方的な放棄はできない |
| 仮登記 | できない | 始期付所有権移転仮登記ができる |
死因贈与は契約なので、受贈者の同意が前提になり、受贈者の立場が安定します。不動産については生前に仮登記をしておけば、死後に他の相続人が勝手に処分することを防げます。一方で、公正証書で作成しないと相続人から「そんな契約は知らない」と争われるリスクがあります。
税金の違い
相続税の扱いは同じです。どちらも「遺贈により取得した財産」として課税され、受け取った人が配偶者・一親等の血族以外であれば2割加算の対象です。基礎控除の計算も変わりません。
差が出るのは不動産に関する税金です。
| 税目 | 遺贈 | 死因贈与 |
|---|---|---|
| 不動産取得税 | 包括遺贈は非課税。特定遺贈は相続人なら非課税、相続人以外なら課税 | 相続人であっても課税(固定資産税評価額の原則4%、住宅・土地は3%等の軽減あり) |
| 登録免許税 | 相続人への遺贈は0.4%、相続人以外は2% | 相続人であっても2% |
例えば固定資産税評価額3,000万円の土地建物を長男に渡す場合、遺贈(特定遺贈)なら不動産取得税は非課税で登録免許税は12万円です。死因贈与では、不動産取得税が軽減後でも数十万円程度かかり、登録免許税は60万円になります。相続人に不動産を渡すなら、税負担の面では遺贈のほうが有利です。
使い分けの目安
- 相続人に不動産を確実に渡したい: 公正証書遺言による遺贈(または特定財産承継遺言)が税負担も軽い
- 相続人以外(内縁の配偶者など)に渡し、生前に権利を固めたい: 死因贈与と仮登記の組み合わせが有効
- 介護などの負担と引き換えに渡したい: 負担付死因贈与にすれば撤回が制限される
不動産取得税の税率や軽減措置は変更されることがあるため、実行前に最新の情報を確認してください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。