医療法人の多くは「持分あり」の社団医療法人で、出資持分は財産として相続税の対象です。利益が内部に蓄積されている法人では持分の評価額が数億円に達することもあり、相続人が払えない事態が起こります。この問題への対応策として設けられているのが、認定医療法人制度と、それに伴う納税猶予・免除の仕組みです。
出資持分が高額になる理由
出資持分の評価は、非上場株式と同様に、法人の純資産や利益をもとに計算します。医療法人は配当ができず利益が内部に残り続けるため、長く経営している法人ほど評価が膨らみます。しかも持分は売却先がなく、払い戻しを請求すれば法人の経営が傾くという問題があります。
認定医療法人制度の概要
認定医療法人とは、持分なし医療法人への移行計画について厚生労働大臣の認定を受けた医療法人です。移行計画の認定を受け、一定の期間内に出資者全員が持分を放棄すれば、持分なし医療法人に移行します。
この制度の税制上のポイントは次の通りです。
- 移行期間中に相続が起きて持分を相続した場合、その持分にかかる相続税の納税が猶予される
- 相続人が持分を放棄して法人が持分なしに移行すれば、猶予された相続税は免除される
- 持分を放棄したことで法人側に贈与税が課されるという問題についても、認定を受けた法人は一定の要件のもとで課税されない
認定の申請期限は過去に何度も延長されており、現在の期限や要件は最新の情報を確認してください。
猶予を受けるための要件と流れ
- 医療法人が移行計画を作成し、厚生労働大臣の認定を受ける
- 認定後の移行期間中に相続が発生し、相続人が持分を取得する
- 相続税の申告期限までに申告し、猶予税額に見合う担保を提供する
- 移行期間内に相続人が持分を放棄し、法人が持分なしに移行する
- 猶予税額が免除される
逆に、移行期間内に放棄せず持分を持ち続けた場合や、認定が取り消された場合は猶予が打ち切られ、利子税とともに納付します。
持分なしへの移行の注意点
持分を放棄すると、相続人は法人の財産に対する権利を失います。法人の経営権は社員としての議決権で確保されますが、財産的な権利はなくなるため、親族間で意見が分かれることがあります。また、認定を受けるには役員の親族割合や法人の運営に関する要件を満たす必要があり、法人の体制の見直しが求められることもあります。
医療法人の相続は、法人の運営と税務の両面を同時に考える必要があります。持分の評価額を把握するところから、無料相談でご相談ください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。