父の相続(一次相続)で母が自宅を取得した場合、母の相続(二次相続)で自宅は再び相続税の対象になります。二次相続には配偶者の税額軽減がないため、小規模宅地等の特例が使えるかどうかで税額が大きく変わります。二次相続で特例を確実に使うには、一次相続の段階からの準備が必要です。
二次相続では配偶者の軽減が使えない
一次相続では、自宅を母が取得すれば配偶者の税額軽減で税額がほぼかからないことが多く、小規模宅地等の特例を使う必要すら感じないかもしれません。しかし二次相続では、相続人は子だけになり、配偶者の軽減は使えません。基礎控除も法定相続人が1人減るため600万円下がります。
このとき自宅の敷地に特例が使えなければ、評価額がそのまま課税されます。評価額5,000万円の敷地なら、特例の有無で課税対象が4,000万円変わります。
二次相続で子が特例を使える形を作る
子が特例を使えるのは、次のいずれかの場合です。
- 母と同居していた子が取得し、申告期限まで居住・保有する
- 別居の子が家なき子の要件を満たして取得する(母に同居の相続人がいない、子が3年以内に自分や配偶者の持ち家に住んでいない、など)
- 母と生計を一にする親族が住んでいた土地を、その親族が取得する
一次相続の後に子が母と同居を始める、二世帯住宅に建て替える(区分登記はしない)、といった方法が1に当たります。2は子が持ち家に住んでいると使えないため、持ち家のある子が多い家庭では現実的ではありません。
一次相続で子に取得させる選択肢
もう一つの方法は、一次相続で自宅の敷地を子に取得させておくことです。父と同居していた子であれば、一次相続で特例を使って自宅を取得でき、二次相続ではそもそも自宅が母の財産に含まれません。
| 方法 | 一次相続 | 二次相続 |
|---|---|---|
| 母が自宅取得 | 配偶者軽減で税額小 | 自宅が課税対象。特例は子の状況次第 |
| 同居の子が自宅取得 | 特例80%減で取得 | 自宅は対象外 |
| 母と子で共有 | 両方に特例を按分 | 母の持分のみ対象 |
ただし母の住まいの安定を考え、母に配偶者居住権を設定し、所有権は子にするという組み合わせも選択肢になります。
実務上の対応
一次と二次の合計税額で比較することが基本ですが、母の年齢や健康状態、子の居住状況によって最適な形は変わります。相続税シミュレーションで概算をつかんだうえで、具体的な分け方はご相談ください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。