土地の評価を見直したら安くなった、未分割だった財産の分割がまとまって配偶者の税額軽減を使えるようになった。こうしたときに納めすぎた相続税を取り戻す手続きが更正の請求です。ここでは請求書の書き方から、審査、却下された場合の対応までを順に解説します。
期限の確認
- 通常の更正の請求:法定申告期限の翌日から5年以内(評価誤り、計算誤り、特例の適用漏れなど)
- 後発的理由による更正の請求:未分割財産の分割確定、遺留分侵害額の確定、認知や相続人の異動、遺言書の発見、相続の放棄の取消しなど、相続税法に定める事由が生じた日の翌日から4か月以内
4か月の期限は見落としやすく、遺産分割協議が成立した日から数えます。分割協議書に署名した日を正確に記録しておいてください。
請求書の書き方
- 「相続税の更正の請求書」に、被相続人の氏名・相続開始日、請求する相続人の住所・氏名・マイナンバーを記入する
- 「更正の請求をする理由」欄に、何がどう誤っていたか、またはどんな事由が生じたかを具体的に書く(例:「○○市○○の宅地について不整形地補正の適用漏れがあったため」「令和○年○月○日に遺産分割協議が成立し、配偶者の税額軽減を適用するため」)
- 「次葉」に、当初申告の課税価格・税額と、請求後の課税価格・税額を並べて記入し、差額(還付される税額)を出す
- 請求する相続人が複数いれば、それぞれが請求書を提出する
添付資料
- 修正後の内容を示す申告書の各表(第1表、第11表、第15表など、変更があった表)
- 理由を証明する資料:土地の評価明細書と測量図・写真、遺産分割協議書と印鑑証明書、調停調書、遺言書の写しなど
- 本人確認書類の写し
- 還付金の振込先口座が分かるもの
審査期間と結果
法律上の審査期限はありませんが、税務署は内容を確認し、必要に応じて追加資料の提出や説明を求めてきます。実務では提出から数か月程度で結果が出ることが多いといえます。認められれば「更正通知書」が届き、その後に還付金と還付加算金が振り込まれます。認められなければ「更正をすべき理由がない旨の通知書」が届きます。
却下されたときの対応
通知書を受けた日の翌日から3か月以内に、税務署長への再調査の請求または国税不服審判所への審査請求ができます。評価の見解の相違が理由なら、鑑定評価書などの追加の証拠を整えて審査請求に進むかを検討します。更正の請求は税務署に「申告を見直してください」と求める手続きなので、請求前に申告内容全体を再確認し、逆に申告漏れが見つからないかも点検しておくことが大切です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。