非上場株式を相続・贈与で取得したとき、原則的評価方式(高い評価)と配当還元方式(低い評価)のどちらになるかは、「取得した人が同族株主かどうか」で決まります。手順を間違えると評価方式そのものが変わってしまいます。
同族株主の定義
「同族株主」とは、株主の1人とその同族関係者(配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族、およびこれらが支配する会社など)のグループで、議決権割合の合計が30%以上となるグループに属する株主です。
ただし、議決権割合が50%超のグループがある場合は、そのグループだけが同族株主になります。50%超のグループがあるのに30%のグループも同族株主とすると、支配権のない株主まで高い評価になってしまうためです。
判定の手順
- 株主名簿を基に、各株主を親族関係でグループ分けする
- グループごとに議決権割合を合計する
- 50%超のグループがあればそのグループが同族株主、なければ30%以上のグループすべてが同族株主
- 取得者が同族株主なら原則的評価、そうでなければ配当還元方式
- 同族株主でも5%未満の場合は、さらに「中心的な同族株主」と役員の判定を行う
中心的な同族株主
同族株主のうち、本人、配偶者、直系血族、兄弟姉妹、1親等の姻族(およびこれらが支配する会社)の議決権を合計して25%以上になる株主を「中心的な同族株主」といいます。
同族株主グループは6親等まで広く含まれますが、実際に会社を支配している中心は限られた範囲という考え方です。取得後の議決権割合が5%未満でも、中心的な同族株主に該当すれば原則的評価になります。
判定例
発行済株式10万株(すべて議決権あり)で、株主構成が次のとおりの会社。
| 株主 | 続柄 | 議決権割合 |
|---|---|---|
| 父(被相続人) | − | 55% |
| 長男 | 子 | 15% |
| 父の弟 | 兄弟 | 10% |
| 取引先A社 | 他人 | 20% |
父・長男・弟は親族グループで合計80%(50%超)なので、このグループが同族株主です。長男が父の株式を相続すれば70%となり、原則的評価です。A社は同族株主以外なので、仮にA社が株式を取得すれば配当還元方式です。
父の弟の子(甥)が1%を贈与で取得した場合は、同族株主グループに属しても5%未満で、甥から見た中心的な同族株主の範囲に父や長男は入らないため、役員でなければ配当還元方式が使える可能性があります。
注意点
議決権割合の計算では、自己株式や議決権のない株式を除きます。また、判定は株式を取得した後の割合で行います。相続人が複数で株式を分ける場合は、それぞれの取得後の割合で判定するため、分け方で評価方式が変わることがあります。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。