医師・歯科医師の相続|医療法人の持分あり・なしの違い、個人診療所の承継と出資持分の評価

医師の相続は、個人診療所か医療法人か、医療法人なら持分ありか持分なしかで大きく異なります。持分あり医療法人の出資持分は非上場株式と同様に評価され高額になりがちで、個人診療所は医療機器や未収の診療報酬の評価と承継の手続きが論点です。

医師や歯科医師の相続には、一般の相続にはない独特の論点があります。診療所を個人で経営しているのか、医療法人にしているのか、医療法人なら「持分あり」か「持分なし」かで、相続財産の内容と評価がまったく異なります。この記事では、それぞれの形態ごとに押さえておくべき点を整理します。

個人診療所の相続

個人で開業している場合、診療所の土地建物、医療機器、医薬品の在庫、診療報酬の未収金(社会保険診療報酬支払基金などからの入金待ち分)がすべて相続財産です。

  • 医療機器:取得価額から定率法で償却した額、または中古市場の価格で評価
  • 診療報酬の未収金:請求済み・未請求を問わず相続開始日までの診療分が対象
  • 医薬品・材料:棚卸資産として仕入価額をもとに評価
  • 診療所の敷地:後継者が診療を続ければ特定事業用宅地等として400㎡まで80%減額

後継者が医師であれば、新たに開設届を保健所に出し、保険医療機関の指定を受け直します。空白期間が生じないよう、事前に保健所・厚生局に相談します。後継者が医師でなければ診療所は廃止となり、カルテの保存義務も含めて整理が必要です。

持分あり医療法人の相続

2007年の医療法改正より前に設立された医療法人の多くは「持分あり」の社団医療法人です。出資者である理事長が亡くなると、その出資持分が相続財産になります。

出資持分は、非上場株式の評価方法に準じて評価されます。医療法人は配当ができないため、類似業種比準方式では配当要素をゼロとして計算し、業種は「その他の産業」を使うとされています。長年黒字を続けてきた医療法人は内部留保が厚く、純資産が数億円になっていることも珍しくありません。

項目 内容
相続財産 出資持分(出資額ではなく、評価時点の法人の価値で評価)
相続人が払戻しを請求した場合 法人から払戻しを受けられるが、法人の資金繰りを圧迫
小規模宅地等の特例 医療法人に有償で貸している土地は特定同族会社事業用宅地等に該当しうる

医師でない相続人が払戻しを請求すると、診療の継続が危うくなることがあります。医療法人向けには、持分なし医療法人への移行計画の認定による納税猶予の制度があり、認定医療法人制度と合わせて検討します。

持分なし医療法人の場合

持分なし医療法人では、出資持分という財産が存在しないため、法人の財産は相続税の対象になりません。相続で問題になるのは、理事長が法人に貸していたお金や、理事長個人が所有して法人に貸している診療所の土地建物です。そのほか、MS法人(メディカルサービス法人)の株式の評価や、医師会の退会手続きも忘れずに行います。

医療法人の評価は専門性が高く、出資持分の評価額次第で相続税が数千万円単位で変わります。早い段階で無料相談をご利用ください。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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