役員借入金の相続対策3つの比較|債務免除・DES・貸付金の贈与、それぞれの税金と向き不向き

社長が会社に貸している役員借入金は額面で相続税の対象になります。対策として債務免除、DES(債務の株式化)、貸付金の生前贈与がありますが、会社の債務免除益課税や株価の上昇、贈与税といった副作用が異なります。3つの税金と選び方を比較します。

社長が会社の資金繰りのために個人のお金を入れてきた「役員借入金」は、社長から見れば会社への貸付金であり、相続財産として額面で評価されます。会社に返す力がなくても原則として減額されないため、対策が必要です。この記事では、代表的な3つの方法の税金と注意点を比較します。

3つの方法の比較

方法 社長個人の税金 会社の税金 株価への影響
債務免除 なし 免除益に法人税(繰越欠損金と相殺可) 純資産が増え、株価が上がる
DES(貸付金を株式に) 原則なし 時価と額面の差に免除益課税の可能性 株式数が増え、株価が上がる
貸付金の贈与 受贈者に贈与税 なし 変わらない

債務免除

社長が会社に対して「返さなくてよい」と伝えれば、貸付金は消え、相続財産から外れます。もっとも簡単な方法ですが、会社側では免除された金額が「債務免除益」として利益になり、法人税がかかります。繰越欠損金(過去の赤字)があればそれと相殺できるため、赤字が多い会社では欠損金の範囲内で毎年少しずつ免除するのが一般的です。

また、免除によって会社の純資産が増えると、自社株の評価額が上がります。社長以外の株主がいる場合、その株主の株式の価値が上がった分について贈与税が問題になることもあります。

DESと貸付金の生前贈与

**DES(デット・エクイティ・スワップ)**は、貸付金を会社に現物出資して株式に換える方法です。相続財産としては額面評価の貸付金ではなく自社株として評価されるため、株価が額面より低い会社であれば相続財産を圧縮できます。ただし、業績が悪い会社では貸付金の時価が額面を下回ると考えられ、その差額が会社の債務免除益として課税される可能性があります。

貸付金の生前贈与は、貸付金そのものを後継者に贈与する方法です。暦年贈与なら年110万円まで非課税で、会社には何も起きないため法人税や株価への影響がありません。例えば、3,000万円の貸付金を子に毎年110万円ずつ贈与すれば、10年で1,100万円が移転します。贈与契約書を作り、会社の帳簿上の債権者を書き換えて記録を残します。

選び方の目安

  • 繰越欠損金が多い会社:債務免除を欠損金の範囲で進める
  • 株価が低く純資産がプラスの会社:DESで株式に換える
  • 時間に余裕がある場合:貸付金の贈与を毎年続ける

いずれも「会社が返せる範囲は返す」ことと組み合わせると効果的です。退職金を貸付金と相殺する方法もあります。会社の決算内容によって最適解が変わるため、無料相談で現状の貸付金の残高と会社の状況をお聞かせください。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

ご自身のケースではどうなるか、無料相談で確認できます。

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