相続財産が「株式」ではなく「持分」や「出資」の形をとることがあります。代表的なのが合同会社の社員持分と、医療法人の出資持分です。株式会社と同じように評価する部分と、法人の性質に合わせて調整する部分があるので、それぞれの違いを整理します。
合同会社の持分
合同会社の社員(出資者)が亡くなった場合、定款の定めによって2つのパターンがあります。
定款に相続人が持分を承継できる定めがある場合:相続人は社員の地位を引き継ぎます。持分の評価は、取引相場のない株式の評価方法に準じて行います。会社規模の判定、類似業種比準方式・純資産価額方式の選択、同族株主の判定などはすべて株式会社と同じ考え方です。
定款に定めがない場合:社員の死亡により退社となり、相続人は持分の払戻しを受ける権利を取得します。この場合、相続財産は「持分」ではなく「持分払戻請求権」で、払戻しを受ける金額(会社の純資産に基づく金額)で評価します。
一人合同会社では、定款に承継の定めがないと社員が誰もいなくなり解散事由に当たるため、定款の確認が重要です。
医療法人の出資持分
2007年以前に設立された「持分あり医療法人」の出資は、相続財産になります。評価は取引相場のない株式に準じますが、医療法人は剰余金の配当が禁止されているため、次の調整をします。
- 類似業種比準方式:配当要素(b)を使わず、利益(c)と純資産(d)の2要素で計算します。類似業種は「その他の産業」を使います。
- 純資産価額方式:株式会社と同様に、相続税評価額ベースの純資産から評価差額の37%を控除して計算します。
- 配当還元方式:配当がないため、使えません。
出資持分は原則的評価方式のみになるため、病院の土地建物や蓄積した利益が大きい医療法人では評価額が非常に高くなりやすく、納税資金の確保が課題になります。
評価上の注意点
医療法人の出資持分は、退社時に出資額に応じた持分の払戻しを請求できる権利でもあります。そのため、相続人が医療法人の社員にならずに払戻しを受ける場合は、払戻額が相続財産の価額になります。払戻しを受けると医療法人側の財産が減るため、事業継続との兼ね合いで慎重な判断が必要です。
持分なし医療法人への移行
出資持分に対する相続税の負担を避けるため、「持分なし医療法人」へ移行する制度があります。厚生労働大臣の認定を受けた「認定医療法人」として移行すると、持分の放棄に伴う贈与税が非課税となる特例があります。認定の申請期限は延長が繰り返されているため、検討する場合は最新の期限を確認してください。移行には、役員構成や報酬の制限など運営面の要件もあり、医療法人の経営方針と合わせた判断が必要です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。