純資産価額方式の計算手順|含み益に対する法人税額等相当額37%控除とは

純資産価額方式は、会社の資産を相続税評価額で評価し直し、負債を差し引いて1株当たりの価額を出す方法です。帳簿価額との差額(含み益)に対する法人税額等相当額37%を控除する仕組みと、3年以内に取得した不動産の扱いを計算例で解説します。

非上場株式の評価で、小会社の原則的な方法であり、中会社・大会社でも併用や比較で必ず計算するのが「純資産価額方式」です。不動産を多く持つ会社や、長年利益を蓄積してきた会社では、この方式の価額が高くなります。

計算式

1株当たり純資産価額 = {相続税評価額による総資産 − 負債 − (相続税評価額による純資産 − 帳簿価額による純資産)× 37%} ÷ 発行済株式数(自己株式を除く)

手順1:資産を相続税評価額で評価し直す

直前期末ではなく、課税時期(亡くなった日)の貸借対照表を基に、各資産を相続税の評価方法で評価し直します。

  • 土地:路線価方式・倍率方式で評価(帳簿は取得価額のため、昔からの土地は大きな含み益が出やすい)
  • 建物:固定資産税評価額
  • 有価証券:上場株式は課税時期の終値など、非上場株式は原則的評価
  • 生命保険:解約返戻金相当額
  • 帳簿にない資産(営業権、無償返還届出のある借地権20%相当など)も計上

ただし、課税時期前3年以内に取得した土地・建物は、路線価や固定資産税評価額ではなく「通常の取引価額」(時価)で評価します。相続直前に不動産を買って評価を下げる対策を防ぐための規定です。

手順2:負債を計上する

帳簿上の負債に加え、未払いの法人税・消費税、課税時期に確定している未払配当、死亡退職金(相続人に支給が確定したもの)なども負債に含められます。一方、引当金(貸倒引当金・退職給付引当金など)は負債に含めません。

手順3:法人税額等相当額37%を控除する

相続税評価額による純資産が帳簿上の純資産を上回る部分(評価差額、いわば含み益)には、会社が資産を売却すれば法人税などがかかります。その分を考慮して、評価差額の37%を差し引きます。

計算例

  • 相続税評価額による総資産:5億円、負債:2億円 → 純資産3億円
  • 帳簿価額による総資産:3億5,000万円、負債:2億円 → 純資産1億5,000万円
  • 評価差額:3億円 − 1億5,000万円 = 1億5,000万円
  • 法人税額等相当額:1億5,000万円 × 37% = 5,550万円
  • 純資産価額:3億円 − 5,550万円 = 2億4,450万円
  • 発行済株式数1万株なら、1株当たり2万4,450円

議決権割合50%以下の株主の特例

評価する株主とその同族関係者の議決権割合が50%以下の場合、純資産価額に80%を掛けることができます。兄弟で半分ずつ持っているような会社で使える減額です。

注意点

純資産価額方式は、課税時期時点での資産の棚卸しが必要なため、決算書だけでは計算できません。不動産の評価、保険の解約返戻金証明、未払税金の計算などを会社の経理担当と一緒に進める必要があります。評価差額が大きい会社ほど37%控除の効果も大きいので、含み益のある資産を正確に把握することが重要です。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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