非上場会社の株式(取引相場のない株式)を評価するとき、最初のステップは「会社規模の判定」です。大会社・中会社(大・中・小)・小会社のどれに当たるかで、類似業種比準方式と純資産価額方式をどう組み合わせるかが決まります。規模が大きいほど類似業種比準方式の割合が高くなり、一般的には評価額が低くなる傾向があります。
判定の手順
- 従業員数が70人以上なら、他の要素にかかわらず大会社
- 70人未満なら、業種を「卸売業」「小売・サービス業」「それ以外」の3つに分ける
- 「総資産価額(帳簿価額)と従業員数」による区分と、「直前期の取引金額」による区分を求め、大きいほうの区分を採用する
業種別の基準(2017年の改正後)
大会社になる基準は、おおむね次のとおりです。
| 業種 | 総資産価額かつ従業員数 | 取引金額 |
|---|---|---|
| 卸売業 | 20億円以上かつ35人超 | 30億円以上 |
| 小売・サービス業 | 15億円以上かつ35人超 | 20億円以上 |
| それ以外 | 15億円以上かつ35人超 | 15億円以上 |
小会社になるのは、たとえば「それ以外」の業種で総資産5,000万円未満または従業員5人以下、かつ取引金額8,000万円未満といった水準です。その間が中会社で、さらに大・中・小の3段階に分かれます。細かい区切りは国税庁の評価明細書の手引で確認してください。
従業員数の数え方
従業員数は、単純な人数ではありません。
従業員数 = 継続勤務従業員(1年以上勤務し週30時間以上)の数 + それ以外の従業員の年間労働時間の合計 ÷ 1,800時間
パートやアルバイトは労働時間で換算します。社長や専務などの役員は原則として従業員に含めませんが、使用人兼務役員は含めます。
判定例
製造業(「それ以外」の業種)、正社員20人、パート10人(年間労働時間合計9,000時間)、総資産6億円、直前期の売上高4億円の会社。
- 従業員数:20人 + 9,000 ÷ 1,800 = 25人 → 70人未満
- 総資産6億円・25人の組み合わせ → 中会社(「それ以外」の区分では中会社の中あたり。手引で確認)
- 取引金額4億円 → 中会社の区分
- 大きいほうを採用 → 中会社
注意点
総資産価額は直前期末の貸借対照表の帳簿価額(減価償却後)で、相続税評価額ではありません。取引金額は売上高で、営業外収益は含みません。業種は「主たる事業」で判断し、複数の事業がある場合は取引金額の大きい事業で決めます。
規模の判定を誤ると、その後の計算がすべて変わります。決算書3期分と従業員の勤務記録を揃えてから判定を始めてください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。