建物の相続税評価は固定資産税評価額そのもの、倍率地域の土地も固定資産税評価額に倍率を掛けて計算します。つまり、市区町村が付けた固定資産税評価額に誤りがあると、相続税の評価もそのまま間違います。実際、こうした誤りは珍しくありません。
よくある誤りの例
- 建物を取り壊したのに翌年以降も課税され続けている
- 建物の構造や床面積が登記や実態と異なる(木造を鉄骨造として評価など)
- 土地の地目が「宅地」のままで、実際は農地や雑種地として使われている
- 住宅用地の特例(小規模住宅用地の6分の1など)が適用されていない
- 私道や公衆用道路として非課税にすべき土地が課税されている
- 分筆・合筆後の面積が反映されていない
確認の方法
毎年4〜6月頃に届く固定資産税の納税通知書に添付された「課税明細書」で、各物件の評価額・地目・面積・構造を確認します。市区町村で「名寄帳」(所有者ごとの固定資産の一覧)を取ると、所有物件をまとめて確認できます。固定資産税の評価は3年ごとの「評価替え」の年に変わるため、その年は特に注意して確認してください。
誤りがあったときの手続き
評価額そのものに不服がある場合:市区町村の固定資産評価審査委員会に「審査の申出」をします。期限は、納税通知書を受け取った日の翌日から3か月以内です。原則として評価替えの年度しか評価額の審査申出はできません(地目や面積の認定の誤りなどは毎年可能です)。
明らかな事実誤認(取り壊し済みの建物への課税など):審査申出とは別に、市区町村の資産税担当課に申し出れば、課税台帳を修正し、過大に納めた税額を還付してもらえます。還付は原則として過去5年分ですが、自治体の要綱でさらに遡って返還される場合があります。
相続税評価への影響
固定資産税評価額の誤りが直されると、相続税の評価額も変わります。
- 申告前に気づいた場合:修正後の固定資産税評価額で相続税の評価を行います。修正が申告期限に間に合わないときは、修正見込みの資料を添えて申告し、確定後に更正の請求をする方法があります
- 申告後に気づいた場合:相続税の評価が過大だったことになるため、申告期限から5年以内なら更正の請求で相続税の還付を受けられます
たとえば鉄骨造として評価されていた建物(評価額1,500万円)が実際は木造で、修正後の評価額が900万円になれば、相続税の評価額も600万円下がります。税率30%なら180万円の還付です。
実務上の対応
相続の申告では、課税明細書と登記事項証明書、現地の状況を突き合わせて、固定資産税評価額の前提が正しいかを確認してください。「役所が付けた評価額だから正しい」とは限りません。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。