農地の相続税評価は、「どこにある農地か」で大きく変わります。山あいの田んぼと、市街地の中に残る畑とでは、同じ面積でも評価額が何十倍も違うことがあります。この違いを生むのが4つの区分です。
4つの区分と評価方法
| 区分 | 主な場所 | 評価方法 |
|---|---|---|
| 純農地 | 農用地区域内、市街地から遠い農地 | 倍率方式 |
| 中間農地 | 純農地と市街地周辺農地の中間 | 倍率方式 |
| 市街地周辺農地 | 市街化区域に近く宅地化の可能性がある農地 | 市街地農地の評価額 × 80% |
| 市街地農地 | 市街化区域内の農地など | 宅地比準方式(または倍率方式) |
区分は、国税庁の倍率表に農地の種類として記載されています。倍率表で「純」「中」「周比準」「比準」などと表示されているので、評価する農地の所在地を探して確認してください。
倍率方式(純農地・中間農地)
固定資産税評価額に倍率表の倍率を掛けて評価します。農地の固定資産税評価額は非常に低いため、倍率が数十倍と大きくても、1㎡当たり数百円から数千円程度の評価になることが一般的です。
宅地比準方式(市街地農地)
その農地が宅地だったとした場合の価額から、宅地にするための造成費を差し引く方法です。
評価額 =(宅地としての1㎡当たり価額 − 1㎡当たり宅地造成費)× 地積
宅地としての価額は、路線価地域なら路線価に奥行価格補正などを行った価額、倍率地域なら近くの宅地の固定資産税評価額に宅地の倍率を掛けた価額です。宅地造成費は、整地費・土盛費・土止費などの単価が国税局ごとに毎年公表されており、傾斜地は傾斜度に応じた単価が別に定められています。
計算例:市街地農地と市街地周辺農地
路線価10万円/㎡、奥行価格補正率1.00、地積500㎡、宅地造成費(整地費など合計)が1㎡当たり仮に2,000円の畑を考えます。
- 市街地農地:(10万円 − 2,000円)× 500㎡ = 4,900万円
- 市街地周辺農地なら:4,900万円 × 80% = 3,920万円
注意点
市街地農地で、面積が広く地積規模の大きな宅地の要件を満たす場合は、宅地と同じようにその減額を併用できることがあります。また、生産緑地の指定を受けている農地は、別途減額の取り扱いがあります。農業を続ける相続人がいる場合は納税猶予の制度もあり、評価方法と合わせて検討する必要があります。農地の区分は倍率表の確認だけで判断できるため、まずは所在地の倍率表を見ることから始めてください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。